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スーパーちんどん・さとう

Author:スーパーちんどん・さとう
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ウチの夫婦の予定を把握する男


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関西方面の方、ぜひ来てね!


てなことで。

井上は、そもそもかっこつけるところがあるし、「自分はリーダー」みたいな自負もあるし、そもそも優等生できた彼は、責められたり、怒られたりすることに、極端に弱い。
そう、極端に弱い。
それでいて、市丸や他のみんなを小馬鹿にするところがある。

そんなのだから、例えばミツがウチに来ていたりして、夕飯を一緒に食っていたりするのを、うらやましく思っている。

けど、なかなか言い出せない。
言い出せないのは知っていた。

そもそも、なにかウチにくるのにルールがあるわけではないから、「佐藤さんちにメシ喰いに行きたい」と言って、時間が合えばそれで話は終わりだ。
ミツなんかはそうしてるわけだけど、ストレートなこうしたやりとりが彼にはなかなか難しい。
それでも、何かの際には声をかけてやったりしていたけれど、最近になって、「あ、別に簡単にふつうに言えばいいのか」と気づいたらしく、しょっちゅう言ってくる。

で、なぜか言ってくる時にそばにコバがいると、かならずコバも「俺も一緒に行きたい!」と言いだす。
コバンザメである。

ま、いいんだけど、断る理由もないし、正直言うと、彼らの場合、一回「言い方」とかでケチをつけると二度と言ってこない、ということもあるのよね。
自分から言い出したことを大切にしてやりたい、という意味では、できるだけ希望は叶えてやりたい。

ここけっこう重要で、彼らが誘って、まあちゃんとその誘いを断るのはいいんだけど、そうじゃなくて「誘い方」とか、そういう入り口でモノを言っちゃうと、彼らはなかなか言ってくれなくなる。

金八2で、高校入試の面接のことで、「おまえ達の先生に対する言葉遣いが悪いのをなにも言わなかったのは、いちいち言ってたら君たちはなにも言ってくれなくなっちゃうだろ?」と金八先生が言う場面があるんだけど、そういう感じね。
入り口を狭くしちゃうと話が進まない。
というか、彼らはなにも言ってこなくなる。
それでは話は進みません。

すすめたくない場合は、そうするのが一番。
例えば、生活保護をとらせたくない場合は、窓口で受付についていろいろと文句を言ったらいいんです。
そうやって入り口を狭めれば、かならず、生活保護自体が減ります。

同じように、作業所で障害者の希望に添いたくなければ、「希望がある場合は、親を通して連絡帳で」とか、言われたらすぐに「それは後でね」「できないでしょ、それは」「今はそういう時間じゃないでしょ」とか言ってれば、かならず彼らは希望を言ってこなくなります。

で、一回こうなると、この関係を修復するのはたいへんに難しい。

知的障害で、身体の障害もあってトイレの介助が必要だったりする場合、すっとその介助をやってやればいいのに、「ちょっとだけ待ってて」とか、「今?」「さっき行ったじゃない」そういう「否定の言葉」を言わなくてもいいのに付け加えると、当然、その人はあなたには頼まなくなります。
この関係を修復しようとすると、一回につき1ヶ月くらいかかるかと思います。
二回やれば一年、みたいな。

だから、これはやっちゃいかんのだけれど、簡単にやっちゃう「専門家」とか「職員」とかがいて、「バッカだなあ」と思うんですが。

あ、でも、「頼りにされない職員になりたい」場合は、それで正解ですね。
そりゃ、同じ給料だもんね。
トイレ介助なんかしない方がイイもんね。
…って、ま、ならやめろや、って話ですけど。
クソが。


ま、そんなわけで話戻しますが、そうなってくると、タイヘンですよ。
だいたい、そもそもウチの夫婦は、夫婦二人揃って家で夕飯を食べる、というのが、週に一、二日あるかどうか、なんです。

が、まあ俺やアキの予定は、そこそこ自分に関係なくても井上なんかは「なんとなく」知ってる。
で、それを避けて、彼らは言ってくるわけですよ。

「今度の○曜日に行っていい?」とか。

それがちょうど、今日からその日まで夜は予定が詰まってて、その日やっと二人で飯が食えるから、○○にしようかとか言ってる日なんだよね。
必ず、そうなの。
で、その翌日からはまた同じような一週間。

そうなるんで、もうこうなると、二人でウチで夕飯、というのは当分あきらめなきゃかなあ、と思ってるけど、でも、とてもそれは幸せなことだね、ありがたい、とアキと二人で言えるので、俺は幸せなんだと思う。
ま、普通にメシを作るだけだし、もうペロリと食べてくれるから、それもまあ、ありがたいというか、残り物を大放出できる側面もアリ。

なんで、井上に「○曜日行っても…」と言われると、アキと二人で最近は笑っちゃう。
よくまあ、俺らの予定を把握してるな、というか。
ま、ミツはこっちの予定お構いなしに言ってくるから、そう考えるとそこはまた井上は優等生だな、というか、なんというか、彼の限界だな、と思ったりするわけですが。






(BGM:ザ・マイクハナサーズ「二人でカンパイ」fromYOUTUBE)
→おいしいフレーズをつまみ食いした、という一曲。
いろいろなヒット曲のハイライトをつなげました、という。
正直、な~んも面白くない。
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単純に


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単純な話、イチマルたちがなにを必要としているのか?という。

福祉の現場では「障害者のニーズに応える」みたいなことを言いますよね。
では、イチマルたちのニーズって何だろう?と。

よく、そういう「ニーズに応える」という上で、福祉の現場では彼らを「指導」したり、いわゆる「更正」みたいなことかな、しようとしてる。
例えば「作業ができるように」とか。
「買い物ができるように」とか。
そのために、計算の訓練をしてます、とか。
そして、親から日中あずかって、「あずかった状態と同じ状況で親に返すのが仕事」とかいうことらしい。

…ふむ。
ま、単純にね、これね、イチマルのニーズなんだろうか?。

いや、俺もね、「単純にニーズに応えりゃいいんだ」とは思ってないのよ。
そんな「王様」みたいな話、ないからな。

でも、いくらなんでも、この現場の状況って、イチマルのニーズからは離れすぎてないか?と。

だって、これ、保育園じゃん。
保育園では、親から子どもを預かって親に返す。
例えば字を教えたりする保育園もあるかもしれないし、まあみんなと一緒に遊んだり、遊びのルールだったり、そういうことを子どもは学んでいく。

これ、まあそのまま「子ども」を「イチマル」に入れ替えたら成り立っちゃうんだよね、今の福祉の現場って、そういうことをやってる。


これね、まあ「イチマルは頭が悪い」=「子どもと一緒」と思ってるからこんなことやれるんだろうなあ、と思うんだけど、違うでしょ。
一緒じゃない。
少なくともイチマルは身体がデカイ。
子どもと同じではない。
子どもは小さいだけで周りの大人が驚異なんだよね。
それが子どもを更正する一つの要件ではあるわけ。
しかし、それをイチマルは満たしてない。
少なくとも、この一点だけでも、子どもと一緒ではない。
逆にそれは子どもに失礼というか、そういう風にも思う。


でね、じゃあイチマルがなにを必要としてるんだろう、って話なんだけど、ちょっとその前にね、自分のことから考えてみよう。

俺、人生の中で必要なコトって何だろうか。

金か?
金も大事だが、それだけでもない。
ま、言ってみればやっぱ「友だち」なんだよね。

一緒に呑みに言ってくれる人。
話してて楽しい人。
一緒にプロレスとかライブに付き合ってくれる人。

で、しかもこれ、金じゃ買えない。
つまりね、金と友だち。


で、そう考えた時、イチマルはどうだろう。
イチマルは俺と違うんだろうか?と。
「知的障害者だから俺と違う」と断じて保育園と同じようにめんどうみてやればいいんだ。というのは簡単だ、というか、そういうことを今やってるわけだよね、世の中は。

でも、そういうデイケアの中で、カブキもオグラも死んでしまった。
今、やっと話ができるようになったけど、彼らがここに来たばかりの頃はひどかった。
そう考えると、やっぱり彼らが必要としているのは「保育園ではないのではないか」というのは成り立つ。

つまり、逆算ではあるけど、彼らだって「やっぱ金と友だちが必要なんじゃないか?」というね、そういう簡単な結論がここから導き出されるんだよね。


だからまず、友だちを作る。
一緒にバカが言える人。
親の知らない仲間。
親には言えない場所に一緒に行ってくれる友だち。
そういうね。

そして、あとは金だけど、そこはまあにじ屋を頑張る。


それをまあ、粛々とやったらイイと思うんだよね。
難しいことはない。


けれど、多くの関係者、俺のような人たちは、よくわからないような「横文字」を使っては、頭を悩ませている。
俺は「そこ?」といつも思う。
もちろん、前に書いた「粛々とやっていく」ことについて悩むならわかるんだけど、俺でもよくわからない、いや、イチマルにはマッタクわからない横文字で悩むなよ、と。

それ、少なくともイチマルの「思い」からはかけ離れていくばかりじゃなく、そういうことをメインにしていっちゃうことで、イチマルが参加できない状況ができちゃうんだよね。


それとよく聞くのは「ウチの子は友だちなんか欲しがってない」という。
けど、それ、カブキやオグラがここに来る前にそうだったように、「死んでる」からなんじゃないかな、と思ったりする。
あの状態で、オグラがなにか考えられる状況だったかというと、俺にはそうは思えなかった。

まあ、確かにオレたちも手探りだったけど、オグラはそこからここまで来た。
施設で十年同室だった人の名前は思い出せないが、今はみんなとふざけていたり、みんなと笑ったり、みんなとケンカしたりしている。


つまりまあ、何が言いたいかというと、なんかね、「もっと単純に」って思う。

友だちを作ろう。
金持ちになろう。

そこを軸にしていくしかないと思う。
そのための作業であり、そのためのコミュニケーション術でアリ、そのための笑顔、だったり。
軸をブラしちゃダメだよね。


蛇足だけど、両方ともウチのオリジナル曲になってるな。
「俺は仲間がほしい」って歌もあるし、「金持ちになりたい」って歌もあったわ。




(BGM:Elequte「アジアの純真」from「J-Pop House Covers」)
→この曲は「なんだこれ?」と思っていたけど、いや、深かった。
というか、こういう曲が残るという。
歌詞的にもどっか「横浜、たそがれ」的作りというか。
こういうのもスゲエ。

聖人じゃない …俺もな


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ボランティアに来る人やガイドヘルパーとかなんでもいいんだけど、子どもだったころの井上達にとって、そういう人たちは「一緒に遊んでくれるお兄さんお姉さん」だったわけです。

彼らにとっては、親とは違う「楽しい人」「会いたい人」の一人だったわけですが、もちろん、今会ったりすることはおろか、年賀状くらいは交換しています、という例を、俺は聞いたことがない。

ま、俺が聞いたことがないだけかもしれない。

大体の場合、それは学生だったり、つまり「時間があった」とか、「他の仕事をしようと思ったが失業した」とか、人によって「失恋した」とか。
つまり人生のエアポケットのような時間を、ボランティアで過ごす、みたいなことですね。
いや、まあ多くは「経験してみよう」なのかな。

で、これが映画だとしたら、ボランティアに来た人が逆に「人生の豊かさ」「頑張ろうという気持ち」を受け取り、エアポケットから人生の軌道に戻る、みたいなスジになります。
つまり、まあ多くの場合、「ボランティアをされる側」にとっては、それが「人生を変えること」にはなかなかならないコトが多い。
いや、絶対にそうだとは言い切りませんが。


…といったような、いろいろな背景は想像なんで、これ以上なんか言ってもしょうがない気がしてきたので、話を進めようと思います。

ま、現実的に、井上達はそういう出会いと別れを繰り返している、ということね。

その中で、けっこう井上とかは、新しい専従や職員とかに「辞めないでくれ」という思いがあるようで。
でもまあ、辞めちゃうんで、そのたびに井上は腹を立てる。

しかし、やめるってのは、人生の重大事だから、その決断も尊重しましょうよ、と思いますが、それって大人の理屈で、その前に、一緒に遊んでくれていたお姉さんに「なんでいなくなるんだヨー!」って叫びたい気持ちが、まあ井上なんかには大きくあるというか。

でもまあ、直接その場で言えるほど井上はできるわけじゃない。
健体者が怖いし、なんか言い返されたら、と思ったらなにも言えなくなっちゃう。
だから、後になって、俺に言いに来たりする。
でもまあ、もう遅く、その本人に伝える手段ってのはなかなか作れない。
というか、俺の「大人の対応」として、なかなかそれができないのもあります。

「それでいいのか!それでも井上の側の人間と言えるのか!」という批判を自分自身にしつつ、でもやっぱ辞めた人にどうこう言いたくはない、という。


しかし、まあそれでも井上なんかはあとででも言ってくるだけイイですが、市丸とかはもうその状況になれきってるから、何も感じない、というか、何も感じないようにフタしちゃうんだね。

よく、施設に行ってて「オグラやカブキがバカのフリしてた」って話を書きますけど、それと同じで、「防衛本能」だと思うんですよ。
どんな人が来ても、その人は辞めます、という前提だから。
薄く、テキトウに付き合ってればいい、という。
辞めたらもう「なかったこと」にすぐできる、というか。

なんか怖いよね。
世の中で一番大切なのは友だちだ、なんて言いますけど、もうそういう次元じゃないよね。
人生楽しいわけがないよね、というか。


井上やミツたちの会話で、学校時代に一緒にいた友だち、というかいじめてた友だち以外で健体者が出てくるとしたらそれは先生です。
オレなんかは、別に「小学校の時の先生にライブを見てもらいたい」なんて決して思いませんけど、ってか、先生自体を忘れちゃった感もありますが、彼らはすぐに「先生」が出てくる。

なぜなら、先生だけが、健体者の中で自分たちに関わるのを辞めなかったからです。
いや、担任になった後も、学校にいて、挨拶をしたりできた。
卒業した後も。

だから、みんな先生のことは忘れない、というか、それしか彼らにはない。

イイ先生だったのか、どうなのかはわかりません。
彼らに聞いても、「いやあ、別に…」となったりします。

つまり、「続けること」以外に彼らの信頼を得る方法はないってことはハッキリしてて。


でも、井上達と違って、健体者の人生にはいくつも岐路があったりするから、辞めなきゃならない場面もある。
ま、だから俺の仕事は彼らが辞めないですむようにしなければならないし、でも、まあそういうこととは関係のないコトもあったり。


一つだけ、健体者のみなさんに知っておいてほしいのは、井上達は、健体者の人ほど選択肢はないんですよ。
だから、すごく「期待してる」んだよね、他人に。
ま、それがいいかどうかは別ね。
でも、それが現実。

その中で、彼らは哀しい気持ちを押しつぶして、ないモノにして、本人にもその気持ちを伝えずに「いい人」で、ずっとずっときてる、って話。
そこに甘えられちゃうのを見てると「ひどいなあ」と思う。

ってか、井上達にも人の気持ちはあるんです。
聖人なんかじゃマッタクない。





(BGM:THE TIMERS「障害者と健常者」from YOUTUBE)
→タイマーズのこの曲が入ってる盤の再発がされないのが許せんなあ。

なるべく「説得しない」 その2(ラスト)


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http://superchingdong.blog70.fc2.com/blog-entry-4085.htmlのつづき。


で、この彼女がやめる、って話をした時のことになるんだけど、ミツが「バカにされた気がする」って言っていたんです。

で、「どうしてそういう気持ちになったのか?」という感じになったんだけど、それは聞いてもちょっと出てこないよ、ってそれ以上の追求?を止めてもらったんですが。

ま、言われた側からしてみたら、「二度とそういうことにならないように、聞きたい」のは当然で、悪気がないことも充分にわかる。
当然そういう流れになるのもわかる。

けど、やっぱりこれってのは、「なんでいじめられたと思ったの?」という問いと同じで、それを答えられる人はいいけど、答えられない人の方が多いんではないか?というか。
で、まあ、「よくわからないけど、そう思った」って答えが「通用してくれれば」なんの問題もないんだけど、そうじゃない場合、つまり「なんでそう思ったか」を答えられなかったり、答えたとして、それが「答えになっていなかったり」「逆に反論を招いたり」「説得を招いたり」というコトになった場合に、「そもそもそれはイジメじゃない」と認定されるのが怖い。

それは「そう思った」ことを潰してしまう。

もちろん、「誤解」ということはある。
だから、それは簡単に「違う」ということはできるけど、多くの場合、「単純な誤解」というのは、けっこうすぐに判明する、というか、気づくんだけど、そうじゃない場合は、やっぱ「それは誤解だよ」と「説得」が始まってしまうタイプのヤツになるんだよね。


そもそも、健体者のやめると言った彼女と障害者であるミツとの間には、格差がある。
もちろん、障害者でも金持ちはいるから、そういうことではなく、具体的にミツ(やウチの連中)と彼女の間には、少なくとも「機会格差」みたいなことはある。

だって、ミツは「ここに来たからいいけど、他に行っていたら、カブキやオグラのようになっていた」ということはよく言う。
それは、高等部時代の実習なんかからそう思ったらしい。
その後も、まあいろいろなところを見に行って、そして今回オグラを見て、本当に「施設なんかに入ったら大変なことになる」と思っているようだ。


今でも、オグラは、時々年齢がわからなくなる。
というか、どこまでが本気なのかどうなのかがわからないんだが、十歳、とにかくさばを読む感じになる。
いろいろ聞いてみると、「施設に入った歳に生まれた」ということを言う。
その主張が、とにかく変わらない。
時々、そのスイッチが入るのだ。

かなり、精神的な問題、ということになるんだろうけど、そうなると、「違うよ、おまえは●年生まれの▲歳だ」ということが「いや、そうじゃないんですよ、■年生まれなんです」となる。
「施設に入ったすぐあとに生まれたんです」と言う時もある。

少なくとも、そんなことはあり得ないんだが、でも、それが彼の中では「正解」になってしまう。
鬼気迫るといった表情で、「事実」を否定するので、ちょっと怖くなる。


で、コレまで見てきた多くの場合、親戚が施設行きを薦めることが多い、というのもミツはわかっていて、まあそういう事例が多くあったと言うことだけど、親亡き後に、よほど踏ん張らないと大変なことになるな、みたいなことは頭に入ってるらしく。

つまり、彼はクビ皮一枚でつながってる感じというか、もちろん、ココがイヤになったら彼はどっかに行くことを考えるだろうが、コバと同じように、まあ家出をしてまでも、高校を辞めてまでも来たい場所なワケだから、まあ今のところはいいんだろうけど。
でも、選択肢がないんだよね。

細かい選択肢はあるけれど、大きな、つまり「勤め先を変える」とかの選択肢はないんだな。
いや、あるんだけど、現実的に、今はない、と考えるしかない、状況にいる、という。


こうなると、彼女の「辞めたい」ってのは、ミツにとってみると、ちょっとやっぱり「カチン」ときたのかもしれない。

もちろん、彼女は、ここでの生活を「イヤだ」とか思っていたわけじゃない。
すごく悩んだ結果として、新しい挑戦をする、と決めたわけで、なにもここでの生活やミツとかの生活を「下に見た結果」ではないのだけど、ミツにとってみたら、コレまでやめた人の多くの感じもあって、そう思ってるんだろうかな、とは思うんだけど。

彼女にしてみたらまあ、いい迷惑だけど、でも、まあ「やめた人が大嫌いな人になる」井上達にとって、彼女が初めての「辞めてもずっと仲間」という人になってもらえたらいいな、と思っている。
それを繰り返していくことでしか、このミツの「バカにされた感じ」は消えないんだろうな、とか。

「バカにしてないよ」って百回繰り返したところで、きっとミツには響かないんだろうな、と。
「なんで?なんで?」と聞きたい気持ちはあるのはわかる。
でも、それは逆に前回書いたカブキじゃないけど、健体者側が、「彼らの気持ちの表現を潰すために説得をする」というコトになるんじゃないかと思って、あまりオススメしたくないのである。





(BGM:新東京正義乃士「運のない男」from YOUTUBE)
→ナゴム方向、ってことしかわかりません。
当時聞いてたわけでもなかった。
ナゴムは避けていた…。
ちょっと調べてみたら、ああ、三柴理さんがピアノ弾いてるのか。
確かに、ピアノ前面のバンドでありますな。

なるべく「説得しない」 その1


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先日、関わってる人を嫌な気持ちにさせるために、いわば「当てつけ」みたいに「漏らす人」の話から推測されることを書いたんだけど(http://superchingdong.blog70.fc2.com/blog-entry-4084.html)。

もう井上が書いているので(http://www.nijirock.com/inoueblog/2017/06/06/%e3%83%a2%e3%83%bc%e3%83%84%e3%82%a1%e3%83%ab%e3%83%88-%e3%83%88%e3%83%ab%e3%82%b3%e8%a1%8c%e9%80%b2%e6%9b%b2/)まあ、アレなんですが、にじ屋を手伝ってくれてたというか、カブキの介助もふくめなんだけど、その彼女が辞めることになりまして。
ウチの仕事がイヤだとかそういう流れではないようなんですけど、まあいかんともしがたい状況ができたとのことで。

今までだって、たくさんの健体者が辞めてきたんだけど、井上によれば、「コレまではあいさつに来たこともない」「いつもオレたちが知らないうちに辞めてる」ってことで、後になってずいぶん俺に愚痴をこぼされるというか。
「なんでだよ!」みたいなことを、まあ後になって言われるんだけど、もうその時点ではその本人には伝えようがなくて。

井上達に挨拶するかどうか、ってのは、もう本人の問題なので、俺も「井上達に挨拶してほしい」とは言ったりもしますけど、それ以上のことは言えない。
しかも、辞めたあとに、「井上がこう言ってる」と伝えるのはもっと違う。
ので、まあ「直接言えたらいいのにな」といつも思っていました。

そもそも、井上とかは「いい子」なので、なかなか人にストレートに「なんでやめるんだよ!」とか、そういうコトを言えない感じがあります。
コバに至っては、「なんで辞めるんだよ!」っていうのは、「その人を傷つけるかもしれないから言わなかった」と言っていました。

ま、傷つけるかどうかは別として、でも、彼としては「辞めてほしくない」。
けど、まあ健体者には人生の選択の幅があるから、どうしても、そういう場面が出てきて、そのたびに、彼らは傷ついたまま、終わる。
その気持ちは、本人には伝わらない。

知的障害者だから、そんなに影響がないだろう、なんて思ってたら大間違いで、彼らは本当に悔しがるし、本当に悲しむ。
それをずっと見てきた俺は、逆にまあ幸せな立場なんでしょうけど、まあそれをね、やっぱ井上とかにしてみたら、「本人に伝えたい」ということになる。

辞めたあとに伝える、というのは、ちょっとまたなんか違う気がするので、ま、そういう場があったらいいな、と。


ま、今回そういう場があって、井上達やミツ、そして普段はなにも言わないようなツノまでが立ち上がって、「やめないでくれ」とか、まあいろいろと発言していました。
これは本当に、そのやめる彼女にありがとう、といいたいんですが、そういう場を作ってくれて。
今月いっぱい、彼女とはまだ生活が続きますけど、その中でもまたいろいろ会話ができたらイイと思ってるんですけど。


で、まあそんな感じだったんですが、まあカイとモトミがちょっとついていけないのはしょうがない。
認識の度合いがやっぱりあるから、やめる、の話が伝わっているのかどうか、疑問。

それ以外のメンバーは、泣きになっちゃうヤツもいれば、ちょっと怒ってるヤツもいれば、懇願してるヤツもいたり、いろいろでした。
ビデオで撮っておくべきでした、というくらい、みんなの気持ちが出ていて俺はとてもよかったな、と思ったんです。


でも、その中で、なにも言わなかった、そして「いいんじゃない?」の一言で済ませてしまったのが、オグラとカブキ。
カブキなんかは、まあ彼女の介助ってコトで来てもらってたから、朝来る時から一緒だったにもかかわらず、そういう感じで。

いや、それはなにも彼女がイヤな人だったとかそういうことじゃないんだな。

簡単に言えば、施設暮らしが長かった、あ、カブキはまあ入所じゃないけど、他の施設で。
そうなるとね、「まあいいんじゃない」で済ませちゃうんだろうな、って。
つまり、「新しい門出を祝ってあげましょう」でおわり、というか。

いや、そうなんですよ、最後はそうなんだと思うんだけど、その前の「この悲しい気持ち」「この嫌な気持ち」「このなんかワケがわからないけどモヤモヤした感じ」を、やっぱはき出すことを、もう彼らは「辞めちゃってきたんだな」って思ったの。

そうしないと、確かに暮らせない。
きっとカブキのいたところなんかは人の入れ替えが多かったと思うし、そのたびに、きっと「納得させられて」来たんだろう、と思う。
オグラも。


だから、俺は今回、「納得させるのは辞めよう」って思って。
「イヤなこともなにも、感じようよ、表現しようよ」って思ってて。

今回の彼女は、それをやらせてくれたので、ある意味、やめる人にしかできないことなんで、それはありがたいな、と思ってるんですけど。


で、冒頭の「漏らす人」に戻るんだけど。

その人も、どういう人か知らないけど、漏らすんじゃなくて、もっとちゃんと伝えればいいんだよね。
しゃべれれば言葉で。
しゃべれなくても、なにか漏らす以外の方法でなにか伝えられないんだろうか、って。

こっちの都合のいいように丸め込んで「納得させる」コトばっかりやってたらさ、やっぱ、彼らはなにも言わなくなっちゃう。
何も感じなくなっちゃう。

で、自分の中にたまるし、ヘンな形で表現することになっちゃうんじゃないか?みたいな。


いや、憶測だけど。
でも、やっぱ、「思ったことを言ってもイイ」って感じはね、重要だと思ってる。


続きます






(BGM:山崎春美「歌に身を切られる(1984)」from YOUTUBE)
→この人が何者なのか、ってのがよくわからないんだけど、なんかいつも気になってた。
TACOもすげえアルバム作っちゃったりして、なんなの?みたいな。
この曲はすごくわかりやすい感じ。
けど、それは「感じ」であって、結局はまあわからない。

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