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スーパーちんどん・さとう

Author:スーパーちんどん・さとう
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あきらめも肝心か


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専従募集


カイが、ささくれを取ってしまい、そこからばい菌が入る。
指が腫れる。
そういう状況になってしまうと、ちょっとよくない。

そもそも、カイは手がうまく洗えない。
というか、水をつけたがらない。
だから、不潔だし、あちこちも触る癖があり、状況はよくない。

まあ、ほっておけば、いつかはうまく治るのかもしれない。
けれど、その指の衛生状況が悪いというのは、他の指もちょっとよくない状況に陥ってしまってはいて、治癒能力を超えている感じがある。


手を洗う。

ごく簡単なことだけれど、なかなかそれが難しい。
毎回、我々が中に入って手を洗わせられればいいが、そうもいかないときもある。

ま、それができればいいんだろうけど、小さい頃からの「水を嫌う」みたいなことは、なかなか彼も変われない。


そうなるので、指を消毒して、包帯でも巻いておけばいいか、と思うのだけれど、それも彼は取ってしまう。
取るな、と何度言っても、取ってしまう。

初期の段階で、その処置ができれば、こういう指のトラブルはかなり少なくできる、ハズだと思うのだけれど、彼は取ってしまうし、手は洗えないし、指を不潔な状態に置くし、なかなか状況が前に進まない。

そして消毒するたびに大騒ぎである。

もどかしい。
本当に、もどかしい。


人は、どこかが痛ければ、それを解決するために、ちょっとしみちゃってイヤでも消毒したり、不便であっても、包帯を巻くとか、そういうことをする。
けれども、彼には、「今」が全てで、「治るためのこと」というのがなかなか伝わらない。

「未来を見通すことが難しい」のが知的障害者の一番の障害、だと俺は思ってるんだけど、まさにその通りで、カイにはそれが難しい。


イチマルも、実家から通っていたときには、指の爪をとにかく食べて、最終的には爪がない、という状況もままあった。

これはまあ、いいわけがない。

でもそれも、「爪がはがれてるから、ばい菌が云々」とか、そういうことで治ったわけじゃなく、「これだと、今、プロレスに連れて行けない」ということで、彼は踏みとどまっている。
だから、今はけっこう爪はある。


カイの場合は、それがちょっと通じないので、困ってはいる。
こっちとしてはイラ立ちもする。
なぜ、せっかく消毒したものを剥がすのだ?!と。

けど、先に書いた「健体者になること云々(http://superchingdong.blog70.fc2.com/blog-entry-4411.html)」を書いて思ったんだけど、もうこれは「しょうがないのかもしれない」と思うようになった。

しょうがない、1時間ごとに石けんで洗うしかない。
ちょっとだけでも、そうやって、症状改善を前に進めるしかないのかもしれない、と。

だって、カイには「今」しかないんだもん。


たいがいのことは、笑って済ますこともできる。
今しか見えないカイのことを、「なんでそれ今やっちゃうかな~」と言ってれば済む。

けれど、「怪我とかになると、そうも言ってられないじゃないか!」。
そういう気持ちになってしまっていたけれど、でも、それも彼なりに治すしかないのかもしれない。

それに、正直、30分ごとに包帯を巻き直すのはもう疲れてしまう。
俺の気持ちがついていかない。


悩む毎日ではあるけれど、というか、悩ましい毎日ではあるけれど、でもまあ、しょうがない、というか、その中で最善をやるしかないんだわな。
こっち側のあきらめも肝心か。








(BGM:「Intensified Chaos」Not So Quiet on the Western Front fromYOUTUBE)
→よくわからないコンピの曲なんだけど、こういうの好きなのね。
もちろん、けっこう演奏そのものが下手というのは魅力になるわけだけど、この曲は冒頭の作りがなんか凝ってて、らしくなくて、でも「やりたかったんだろうなあ」が伝わってきて好き。
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専従募集


先日、久しぶりにイチマルがやらかしまして。
逆切れ。
きっかけはなんてことはなかったんだけれど。

ま、その日は朝からちょっとやらかす雰囲気はありました。
なんで、ちょっと他の人と引き離す感じで作業をしてましたが、それもまたイチマルが気に入ってないのはちょっとわかってはいました。

まあ、それでも作業は続き、ちょっとしたことで爆発。
最近の感じで言えば、ちょっとたしなめれば収まっていたのに、収まらず。
オオゴトに。

いや、なんか、これまでは収まっていたのに、収まらないイチマルを見て、なんか恐くなりましたね、久しぶりに。
でもまあ、恐い、って感情は外に出すとどうにもなりませんから。

なんとかそこは外に出さないようには思ってましたけど、ま、イチマル的にはどうだったかはわからない。


結局、押さえ込んだ状態でも、足でツノを蹴っ飛ばす、モノをぶっ飛ばす、まあもうどうにもならない。
久しぶりの光景。
一年くらいこんなことなかったよな、と思いながら。

大丈夫かと思って立ち上がって、場所を移動するように促すも、そこでも近くにあるモノをひっくり返す。
ま、収まらない。


イチマルには今までもメガネを吹っ飛ばされたり、いろいろありましたが、今回、まあ「やっぱかなわないな」と改めて思って。

押さえ込めない。
押さえ込めないと、押さえ込むという方法ではもうどうにもならない。
つまり、もう押さえ込むのと別の方向でなんとかせねばならないな、と。

ま、もう多少の被害はしょうがない、と。
モノが飛ぼうが、俺や他の人に危害がいこうがしょうがない、と。
その上で、まあ、なんとかする、と。

とはいえ、こんなのは、1年以上なかったことだから、まあ次、あったとしても1年後以降なんだろうから、まあ、しかも急に起こるから、まあ、その時の瞬時の判断、ってコトにはなっちゃうんだけど。


正直、結論としては、まあ久しぶりに「イチマルが恐い」と思いました。
でもま、そのまま止まってると話が始まらないので、そこはアタマで考えて何かをクリアーしていかなきゃならないな、と思います。


こういうの、「なんかあったんじゃないか?」という話にはよくなるんだけど、そりゃ、おそらくイチマルの中にはあったのかもしれない。
けど、彼がそれを言語化できない以上、わからない。

というか、あったとして、それにあまり意味があるとは思えない。

例えば「寒いから」とか、「暑いから」とか、けっこうイチマルはそこで左右されることも多い。
だからまあ、服の調節をさせたり、そういうことはするんだけど、そこを越えちゃったとしても、それ以上のことはなにも対策できるわけでもない。

つまり、「いつものこと」が、トリガーになってしまう場合、もうその状況が飽和なワケだから、まあ「いつものことをしない」という方法をとるしかない。
けど、まあ今回もだから「いつものことをしない」方法をとったんだけど、それもまたトリガーになった。

こうなると、もうロシアンルーレットである。

つまり、その時考えられる「いつものことをする」「しない」とかはその場その場でやるんだけど。
それを越えることってのが、やっぱある。
100%というのは、やっぱないんだな。


イチマルも落ち着いてきたな、と思ったけど、やっぱ、100%ではないんだよな、というのを改めて思ったというか。
なんかね、やっぱこう、「こうしたらいい」「こうしたらできる」って教科書はないのよね。

毎日、まあ悩み続けるんだな、と。





(BGM:VANILLA CREAM(THE FINGERS)「CONFUSION」fromYOUTUBE)
→モップスにしても、フィンガーズの解散後のバニラクリームにしても、早すぎたよね。
早すぎたサイケ。
ってか、まあサイケな時代だったんだろうけど、今再びこれはかっこいいんだよな。

彼らのヒエラルキーの強固さ、脆さ


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かなり前になりますが、ちょっとしたやな感じのことがありまして。
というのも、井上とミツ、ノブとハトミが一緒に出かけて、その帰り道に井上がハトミを罵倒し始めてどうのこうの、みたいななんやかんやなんですが。

ハトミは、数年前に来た人で、介助を使って一人暮らししてる、という人で。
車イスに乗ってて、という。
井上やミツは、まあそのずっと前から虹の会にはいるわけです。
でもまあ、ハトミは普段はにじ屋に来るわけじゃないから、あまり付き合いはないんです。

そもそも、井上はちょっと「先輩面」するところがあり、それがひじょうに暴言に近かったり、暴力的になったりすることがあって。
まわりがそれに反旗を翻したりする場合もあるけど(テレビでもその辺が流れましたね)、まわりが乗っかっちゃう場合もあって。

この時は、おそらく井上の「何だよおまえ!」みたいなことに、ミツとかが乗っかったんだと思う。
でも、ノブはちょっと乗りたくなかったから、距離を置いて、みたいな結論になり、別々に帰ることになった、らしく。

結局、この日の「出かけた場所」ってのが、彼らにすごく「イヤな思い」をさせたらしい。
そのストレスが、井上の場合、ハトミに向かった、という。
なぜなら先輩だから。

それに、まあハトミが車イスに乗っている、というのも理由の一つかもしれない。
健体者にはからっきし弱い井上が、障害者にはモノを言える、ってのは、そもそも自傷行為のようなもんだが、そのことまでは井上はよくわからない。
そもそも、高校の時に養護学校に行くようになって、さんざんいじめっ子に転じていたという井上だから、その感じはモトからあったかもしれない。

というか、小学校の時は普通学級でずっといじめられていたんだよね、井上は。
そう考えると、連鎖ってのは止まらないというか。

でもまあ、イイコトではないんで。
まず、障害者云々じゃなくて、もうその人の中身でもっと考えろ、ってことを伝えなきゃいけないよな、って思いまして。
例えば、ノブにはいいとこがあるでしょう、とか、市丸にもイイところがあるでしょう、とか、逆に、健体者にだって言いたいことあるでしょ?とか。


そんなわけで、まあいろいろあって、俺もごく自然に井上とかから話を聞くことができて、その顛末を内部でメールしたんだけど、その中身をちょっと変えながら以下にのせていこうと思うんだけど。


昨日、井上とミツがウチに来て飯を食ってる最中に、「あの日、ハトミが自分勝手で…云々」と話し始めて、知らんぷりして聞いてみたら、つまりは「俺がバスに乗るって言ったのに、ハトミは歩いて行くと言った」みたいなことだった。

「おまえの言うとおりにしない」から、ハトミを怒ってるんだったら、おまえの方が自分勝手じゃないか、と問うてみた。
いつも、コウヘイとか「子分」とだけどっかに行ってるばかりだからわからなくなるんだ、行き方とか、他人と意見が違うのはあたりまえだ。
オレだって○○から駅までなら歩く。
バスに乗って行く馬鹿はいない、と俺なら思うし、そうする、と話した。

「ハトミに任せるのは不安」というから、「そんなのおまえに任せる方が不安だ」と。
話し合えないで、「俺の言うとおりにしないヤツはぶっ飛ばす」とか言うなら、そんなの不安に決まってる。
というか、それは「思い通りにならない」ってダダこねてる子どもだな、と。

ま、井上達はハトミのことをよく知らないのだと思う。

まあ、そんな話の前後、アキが井上達がいないときに言ってたんだけど、つまり井上達ってのは「俺らとハトミ」の関係性を見て、「バカにしてイイか」っていうのを見てる、と。
つまり、例えば内部でのメールのやりとりにしてもなんにしても、彼らは知らない。
ハトミがにじ屋のくじを作ってくれたこととか、まあ、井上達にも言ってはいるんだけど、もっともっとわかりやすく彼らに、ハトミへの感謝を伝えなきゃいけないし、そういう「関係性を見せる」ってのは大事だ、と。
そういう意味で、特にその件で「どうこう」つめるんじゃなくて、「ハトミとのスタンス」をどうやって、自分が見せたらいいか、ってことを考えなきゃならないんじゃないか、って話をしてて、まあその通りだな、と思いました。

ストレートにこの件をどうこうって言えば、上記のような話になってしまうけど、それではたぶんなんの問題の解決にもならず。
「自分たち専従とハトミとのスタンス」とか、そういうのをやっぱ普段から意識する必要がある。

じゃないと、やっぱ彼らは、自分たちの中のヒエラルキーを単純に延長してしまい、そしてハトミはともかく、外の人は、それに「のらなきゃいけない」となってしまい、つまりそれは逆に言えば、「腫れ物を触るように」「幼稚園児の相手をしている」という状況になってしまいがち。
それはそれで、イイ感じの話ではない。

ま、そんなわけで、まあハトミだけじゃなくて、いろいろまあ出入りする人、カブキの迎えとかの人とか、介助者とかもそうだけど、まあいろいろ、オレたちが「見せなきゃいけない」ってことがある、ってことを専従は気をつけなきゃいけないな、と俺は改めて思いました。






(BGM:アイドル夢工場「アドベンチャー・ドリーム」fromYOUTUBE)
→コスチュームがクソださいんだよな。
まあ、時代だからしょうがないんだけど。
でも、当時からこれはないよな、とか思ってた気がする。

雪で露呈した信頼感のなさ


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ま、大雪でした。
って、首都圏基準で、ですけど。
こんなに首都高全線開通まで時間がかかるとは思いませんでした。

とはいえ、滅多にあるもんじゃないので、それはそれで多少の不便も当然、というか、そういうもの、として考えるべきなのかもしれません。

不便は不便なりに謙虚に受け止める、というか。
だってそもそも人間は自然には勝てないのですから。
だから、「こりゃしょうがない」って、休める仕事ならみんなで休む、みたいな、そういう社会になった方がいいような気がします。

雪だけど、なんかいつものようにやらなきゃならない、とか、そういうのはちょっとなんか違う気もしますな。
ま、「休める種類の仕事かどうか?」って話ではあって、そこでまあ、いろいろな基準が入り乱れてしまって足並みがそろわない、みたいなところもあるかとは思うんだけど。

例えば、役所なんかはね、緊急事態に備えて休めない、ってのは誰しもが賛同する部分かとは思いますが(全員かどうかは別として、いわゆる仕事の種類として、って話で)、コンビニとかだとどうなんだろう?
確かに、雪だからこそ便利、ってのもあるだろうし…。

なかなか判断は難しいですが、かといって、「一町内にコンビニ一店!」とかってのも、なんかすげえ社会主義的というか、それもなんか違うけれど、でもなんか、「こういう時だから」てみんなが思える雰囲気、というのは必要な気がします。

そもそも、まあ普通に歩けないんだから。
滑っちゃうわけだし。
そういうのはもう、雪、って予報が出た時点で誰もがわかるわけで。
で、「じゃあ、明日雪みたいだからどうしようか」みたいなことを、みんなで考えたらいいと思うんだよね。
自分たちの仕事の種類や、現場の感じとか、そういうのを鑑みてさ。

で、休みにしよう、とか。
近い人だけ出ることにしよう、とか。
はてまた、「みんなで仕事場に泊まろう」なんてのもあるかもしれない。
せっかくだから、飲みましょうか、なんて。

ま、だから、そういうことを「現場の人みんなで考える」みたいなね、どこもそういう職場だったらいいよな、って思うわけですけど。


で、まあ何を当たり前のことをつらつら書いておるのか、というと、市役所からこんなメールが来てたんですよ。
雪が降る、と言われてた日の朝ですね。
その数時間後には降り始めたわけですが。
紹介しましょう。
ヘッダーとか時候の挨拶とかは略します。


「大雪による注意喚起について」

本日、埼玉県では大雪となるおそれがあります。
事業所さまにおかれましては、ご注意くださいますようお願いいたします。

・送迎時の車の乗降りの際や施設での(玄関・廊下・階段等々)転倒にご注意ください。
・送迎時、また訪問時の際の雪や路面の凍結による交通障害にご注意ください。
・ご自分で通所されている利用者さまへも注意喚起してください。
・屋根からの積雪の落下にご注意ください。(電線や樹木にも着雪しております。)
・ビニールハウスなどの農業施設は倒壊のおそれがあるため注意が必要です。
・利用者とご家族との連絡調整も必要に応じて行ってください。
・その他必要に応じてご対応をお願いいたします。

[補足事項]
 今後、気象台の発表する警報、注意報、気象情報に留意してください。
 次の「大雪に関する埼玉県気象情報」は、22日17時頃に発表する予定です。

明日の朝も特に凍結が心配されます。
何とぞご注意くださいますようお願いいたします。



…どうですか、これ。
「利用者とご家族との連絡調整も必要に応じて行ってください。」
「気象台の発表する警報、注意報、気象情報に留意してください」
「明日の朝も特に凍結が心配されます。」

…当たり前なことを何改まって言ってる?
てか、馬鹿にしてる???
「施設での(玄関・廊下・階段等々)転倒にご注意ください」
…おいおいおい。
雪ってのはそういうもんなんじゃ…。


これね、まあ役所が出すモノなんかこんなとこでしょ、って意見は、わからなくはないですが、いらないよ。
そういう「こんなとこでしょ」って評価ももういらない。
かといって、こういうだとしても出しておかないと「市役所は何もしてない!」って言われてしまうのか…。
って、これも何もしてないし、何も言ってないのも当然だけど…。


つまり、この文面から感じられるのは、決定的な事業所と市役所の「信頼感のなさ」ですね。
雪とか関係なく、それしか伝わってきません。

ま、まず一回飲みに来いよ。
こっちが行ってもいいぞ。




(BGM:ヒデとロザンナ「真夜中の子守唄」fromYOUTUBE)
→「ご存知!女ねずみ小僧」という時代劇のOPだったらしい。
いや、ちょっとこれ名曲じゃないの…。
ヒデとロザンナ、声に色気あるわ。
ちょっと再評価した。

何もこんな時に…


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てなことで。
ちょっとまた藤井の話で恐縮だけれど。

世の中には非常識な人というのはいて、ま、ただの非常識なら誰も相手にしないからいいけど、それが障害者だったりすると、一般の方は、なんか逆に「無下にしちゃいけないと」と思うのか、相手にしちゃったりする。

それだけじゃないけど、まあ非常識な人というのは、どっかでウソをつきながら生きている。
時に、自分がウソをついてることも、そのうち忘れてしまうのだろう。

ま、それはいい。
しょうがない。
そういう人はいる。

ま、俺らにかかわってくれなければそれでいいんだけど、どうしても、こうかかわらなければならない場合がある。

例えば、まあウチの職員で逃げちゃったりする場合。
辞める正当な理由を言ってるようで、実はその根拠がウソだったりする場合とか。

ま、いいんだけど。
いいんだよ、そういう人は、そういう人なんだし、そういう人生なんだから。
相手にしてないし。

けど、その「しりぬぐい」というのはしなければならないことになってしまい、ああ、めんどうだなあ、ということがあります。
事務的なことや、それだけじゃないけど、まあいろいろ。

そんな時、俺が「ああ、くそめんどくせえな。冗談じゃねえよあのバカ!」と愚痴れば、それは藤井は、「ま、ああいう人間はいるから。しょうがないよ」と言う。
でも逆に、藤井が先に「ああ!あのバカ人間が!」と怒鳴れば、俺は「ま、しょうがねえって」となだめる。

つまり、ものすごい怒りと、でもまあしょうがないという諦念、相手にしたくないというヘイト的感情は、常にセットで俺と藤井にあった。

ただ、藤井は障害者だから。
健体者に対しては、非常に甘いところもあった。

そりゃそうだ。
来てくれなくなったら困るから、その「冗談じゃねえよあのクソヤロウ!」ってのは、俺には言うけど、その当人には彼は決して言わなかった。
どちらかといえば、先の例でいえば、俺が怒って、藤井がなだめる、「風」をずっとやってきた。

これは、役割だ。

もし、藤井がいなければ、俺は別に怒ることもないし、いや、怒ってるのは俺も藤井も同じだから、怒るけど、それを表に出すこともなかったろうと思う。
この微妙な感じがわからない人は、というか、たいがい非常識な人はわからないのだが、藤井は優しく、受け入れてくれる、と思ってる人もいるかと思う。

藤井が車の運転をあきらめて車イスになった時、介助者を募集したんだが、その前にウチを辞めた人に声をかけたりしていた。
そのことを、「やりたくないが、でも、人数押さえるまでは、とにかく何か動かなきゃならないから、しょうがない」と言っていた。
ま、最終的に、そういうこととは全く別に、ビラとかを見た初見の人が集まって藤井組、というのを形成することになるのだが。

でもまあ、それを待てなかったというか、ビラを配って電話を待つ間に、彼が動かなきゃならない心の焦りはよくわかった。


障害者と健体者には大きな溝がある。
なにか社会で活動をしていこうとすれば、それはなおさらだ。
それを理解しないで、「藤井は俺のことはわかってくれている」と健体者が思ってしまうのは、あまりに滑稽で、悲しいことだ。
だって、やっぱり、差別の構造、健体者と障害者の溝を何も理解できてないってことだから。


葬式ってのは、まあ人が集まる。
けど、なぜ、ウチに負債を負わせながら逃げたようなヤツが弔電を寄こすんだろう。
藤井が喜ぶとでも思ってるんだろうか。

勘違いしてるんだろうか。
その負債は、今だって残ってる。
会計の状況を逐一チェックしていた藤井は、棺の中でそれをどう聞いたんだろうか?

いや、金だけじゃないけどさ。
あれだけ大迷惑をかけてさ。
いや、藤井にも大迷惑をかけたのに。

そりゃ、迷惑をかけたって謝罪するのならわかるけど。


なんかね、意見が違うとか、そういうのなら、話をしよう。
でも、逃げちゃって、負債も残して、で、そんな人、どこから藤井が死んだのを聞いたのか。
ってか、もうなんで堂々と焼香できるん?お前が?ってヤツもいたな。


いや、「死んだんだから許せ」って?

バカ言うなよ。
どれだけ藤井が怒ってたと思ってるんだ。
「しかたなく」いい顔した時もあったけど、それは「しかたなく」なんだってことくらいわからないんだろうか?。


ま、でも、もういいや。
不義理をどうこういうのも、もうめんどくさくなった。

勝手にしろ。
それに、激怒していたのは、主に虹の会の実行部隊であった藤井と俺だろう。
その藤井が死んだ。
これからは、虹の会の中だって、もうなんで俺と藤井が怒っていたかわからない人も多くなる。

それならそれでいい。
そもそももう説明したくもないし、話もしたくない。







(BGM:E.S. ISLAND「Tech Tech Mommy」fromYOUTUBE)
→1982年の作品なんだけど、これ、かっこいい。
早すぎたなあ、これ。
テクノ好きな人には、ぜひ聞いてほしい一曲。

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