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スーパーちんどん・さとう

Author:スーパーちんどん・さとう
ちんどん太鼓担当

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弟の本心 (15日「施設について呑みながら話す会」の宣伝のつもりだったけど、これはどうか?)


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(創作です念為)


私の年子の弟は、生まれつき身体が弱かった。
毎月2回、遠くの病院に通って、その上毎週近くの病院にも通ってた。
弟は、その通院をいやがって、泣いて親を困らせていて、親も「帰りにデパートによって何か買ってやるから」なんて言って、だましだまし一緒に通ってた。

私は、そんな弟がうらやましく、いや、もう憎らしかったですね。
なんで弟には買ってやって、私には欲しいものも誕生日までがまんしろ、っていうのか。
でもまあ、親の苦労もわかっていたし、弟の身体のことも何となくはわかってたから、口には出しませんでしたけど。

弟は、一応、私と同じ小学校だったけど、ほぼ通えてはいませんでした。
調子がいい時だけ母親が一緒に学校に連れて行っていた、みたいな感じで。
それも、二年生までで、三年生からは、そういう子が入る施設に入りました。
そこでは、弟の部屋まで先生が来て勉強を教えてくれるらしくて。

でも、まあ弟は勉強をする気もないようでした。

弟がそこに入ってからも、毎週末は親はそこに行きました。
私は、最初は一緒に行っていたけど、行ってもやることないですから。
正直、弟のことは憎たらしかったし、弟の機嫌を取るような両親を見るのもイヤでした。
なんで、すぐに行かなくなりました。
家で留守番ですね。
家族で遊園地に行くとか、そういうのはなかったですね。

時に、調子がいい時だったのか、家に帰ってくることもありました。
でも、そうなると、弟の好物が食卓に上がるし、なんか私はなおさら憎たらしくて、すぐにごちそうさま!なんて言って自分の部屋に上がったりしてました。
弟は、なんかすごくわがままで、イヤなヤツだとずっと思ってました。

でも、ある日を境に、ちょっと見方が変わりました。
それは、彼が中学3年になった時。

ウチに帰って来ていた時に、「お姉ちゃん、ここ、教えてくれない?」と数学の教科書を持ってきたんです。
まあ、もうその頃は私も高校ですから、弟が憎い、という思いより、弟の将来ってどうなっちゃうんだろう、って思いの方が強くなってて。

弟は、勉強して、高校に行って、大学に行って、偉くなりたいんだ、といってました。
その時は、ちょっと身体も大きく、強くなってて。
でもまあ、客観的には、小学校高学年にしか見えない感じではあったんですが。
家族にしてみたら、なんかたくましくなったな、とか思ったり。

彼は、「今のところにずっといたくないから。訓練もやってるし、ここのところ風邪もひかないし、このままだったら、家に戻れるんじゃないか」って言ってました。
そして、近くの高校に通いたい、と。

なんか、小さい頃のわがままだった彼からは想像もできない言葉が出てきて、なんか勉強教えよう、教えたい、って思いましたね。

まあ、きっと親はそのまま施設にいて欲しかったんだと思うし、そういうの、弟もわかってたから、親には言えなかったんだと思う。
だから、まあ勉強で頑張って認めさせたい、って思ってたんじゃないかな。

それから、家に帰ってくるたびに、私も都合つけて、なるべく勉強を教えてあげるようにしてました。
なんか、やっぱ施設の中だと、勉強が進んでないんですよ。
特に英語や数学は中1からやり直す感じで。

で、共通模試みたいな、いわゆる業者のテストなんだけど、それが近くの高校であって。
それを受ける、と。
親も、弟の熱意に負けて、それはまあ認めたようで、施設に迎えに行って、テストを受けさせたんですよね。
そしたら、なかなかの成績で。
いや、なんかよかったな、って思ったんだけど。

今考えると、弟はとにかく施設を出たかったんだな。
施設にいて欲しい親に、どうやって納得させるか、の手段が勉強だったんだ。
「あそこには、話ができる友達がいない」
「俺は、居残り勉強とか、帰りに友達とどっか寄ったりさ、それで姉ちゃんみたいに怒られたり、そういうのがしたいんだよ」
弟はよくそんなことを言っていた。

そうだよな。
ずっと同じ部屋にいて、勉強を教わってたって、それをいつ活かすんだ?って思うよ、確かに。
テレビのドラマやバラエティに流れてくる「普通の」高校生の姿は、弟にとって目標だったんだな。

で、親もだんだん、施設を出てもいいんじゃないか?って方に傾いてきたの。
弟の身体の調子もよかったから。

その矢先ね。
きっと、勉強で夜寝なかったりもしたんだと思うんだ。
秋から冬に入る時に、風邪をひいちゃって。
そこから肺炎。
もう、動ける状態じゃなくなっちゃって。

高校行きの話はパーになった。
もちろん、施設を出る話も。

鼻にチューブを入れられてる弟を見たら、私、泣けてきちゃって。
弟も私を見るなり泣いてた。

それから弟は回復はしたんだけど、もう「施設を出たい」とは言わなくなった。
勉強教えて、とも。

私はそれでも「まだ望みはあるから」って、別棟にある施設内の高校も薦めたんだけど、弟はもう魂が抜けちゃったみたいになって。
「イイよ、義務教育終わったし」なんていうばかりで…。

弟は、本は好きだったから、本はたくさん読んでいた。
推理小説から、エッセイみたいなものまで。
「小説書いてみたら?」なんて言ったこともあったけど、弟は、「だって、どっかに一緒に遊びい行く友達もいない人間に、なにが書ける?想像で書いたって、小説にはならないよ」とか言われちゃって。
もうなんか次の言葉が浮かばなくて。

そうだよな。
弟は恋も知らない。
ままごとみたいな小説を書いたところで、弟は納得しないだろう。

私もどうしたらいいかわからなかったけど、施設の人はとても優しかったように見えたし、弟にもいろいろ話しかけたりしてくれてるようだった。
弟は友達はいない、とは言ったけど、弟に話しかけてくる同じ年代の子はいたんだよね。
だから、この中で、彼なりに精一杯人生を楽しんで欲しいと思っていたんだけど。
いろいろ施設の中でイベントとかもやってたみたいだし。
どこまで弟が参加してたかはわからないけど。

私は、高校を出てすぐに働きに出てたの。
車の免許も取りたかったし、早く大人になって、とにかく経済的に安定したかった。
そしたら、弟もなんとかなるんじゃないかって思ったりも、ちょっとだけあったと思う。

で、20歳の時、運命の人に出会ったんだ。
その相手には、弟のこともきちんと話して。
そしたら、一緒に会いに行こう、って。
僕も話し相手になりたい、って言ってくれて。
弟のところにもけっこう一緒に通った。
好きなアニメが重なっていたこともあって、弟も彼を気に入ってくれたらしくて、話が弾んでいるようで、私はとても嬉しかった。

「姉ちゃん、結婚するなら彼だよ。逃がすなよ。よかったね。いい人で」
帰り際、そう言った弟の言葉が、最後になった。

その翌朝、弟はベットで冷たくなっていた。
連絡を受けて、すぐに向かったけど、弟の顔には白い布がかけられていた。
おそらく、夜中に痰が詰まって呼吸ができなくなったんだろう、って施設の職員は言っていた。

家に連れて帰りたい、という両親の意向で、弟は家に戻った。
家の布団に寝せて、「おかえり」と両親は言って泣いた。
私も彼も泣いた。
葬式と言っても、参列してくれる弟の友達はいない。
家族で送ろう、ということになった。
それがまた、悲しかった。

弟にすがるように母親が泣きながら言った。
「ごめんね。丈夫な身体に産んでやれなくて」
「あのとき、ディズニーランド、連れてってやればよかった」
「あのとき、せめて高校に行かせてやればよかった」
「ごめんね、ごめんね…」
取り返すことのできない後悔を、弟の前で両親は懺悔するように何度も何度も繰り返していた。

夜になってもそれは続き、私は、両親をちょっと元気づけなきゃいけないな、と思って、「でも、弟だってきっと…」と言いかけた時、「がたん」と音がした。
みんなが振り返ると、その部屋に飾ってあった花瓶が落ちていた。
気を取り直して「お母さん、元気ださなきゃ。弟もきっと…」というと、また「がたん」。
今度は食卓の上にあった醤油差しが倒れた。
「お父さんも、元気出して。弟だってきっと…」というと、家電が鳴った。
お父さんもお母さんも出れる感じじゃなかったから、話をそこで止めて私が出た。
受話器の向こうでは風が吹いていた。
もしもし?って何度か呼びかけたけど、風の音が10秒くらい続いて切れた。

その時、弟は、私のその先の台詞を言わせたくないんだ、と私は思った。
この風の音は、そう私に言ってるように思えたのだ。


施設での最後、君は、大人だったね。
お父さん、お母さんを、そして私のことも、これ以上苦しませたくなかったんだね。

でも、ずっとずっと、すっと悔しかったんだね。

もっと友達、作りたかったね。
バカなことやって、怒られたかったよね。

最後のわがまま、聞くよ。
その先は言わないよ。





shisetu.jpg

げすいい

(BGM:ジェニーハイ「ジェニーハイのテーマ」fromYOUTUBE)
→これさ、あの新垣隆さん、あのゴーストだった人。
「俺はもうゴーストじゃない」
いや、カッコイイな。
その後、ちょっと嫌いな座長とか言う芸人さんが出てきて残念。
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ハードル (15日の「施設について呑んで語る会」の宣伝のつもり)


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(創作です念為)


仕方ないんです。
いや、そういう言い方がよくないのはわかってますけど。

一人で20人のめんどうをみなきゃならないんですよ。
確かに夜でみんな寝てるとは言ったって、何があるかわからない。
正直、無理なんです。
一睡もできません。

だから、もうスピード勝負っていうか。
一気に数人が目に入んなきゃ、無理なんで。
カーテンもだから閉めてほしくないんです。
閉めなきゃ、部屋に入らなくても全部見えるでしょ。

そうしないと、一人で20人なんて無理なんですよ。

コールを見逃して、といっても、他の世話にいってたんですよ、彼。
だから、彼が悪いわけじゃないと思うんだけど、結局コールを無視した形になっちゃって。
その入居者は死にました。
それで、彼は自分を責めて。

ちょっと鬱みたいになっちゃって、やめました。
きっと他の仕事っていっても難しいだろうな、って、見てて思いました。

僕はね、やめられないんですよ。
この不況の中、しかももう30も後半で、再就職がままならないのはわかってますから。
なんの取り柄も資格もないですし。
子どもができたんで。
なんとか、彼のようにはならないように、って思ってるんですけど。
そう思ってしまう自分にもなんか嫌悪感があるんですけどね。

一番ツライのは、女性の入居者のお風呂の介助ですね。
基本、それはやらないことになってるんですが、どうしても人数が足らないことがあって。
ヘルプで入らざるを得ないことがあるんです。

彼女たちの裸を見るのがイヤ、ってことじゃなくて、それを見てもなんとも思わない自分がイヤになるんですよ。
だって、知り合いの裸ですよ、何か感じて当たり前じゃないですか。
しかも、触らなきゃならない。

でも、何も感じない。

つまりね、もう彼女たちを僕はマネキンかなんかだと思っちゃってるんですよ。
人間だと思えなくなってる。

同じ時間にご飯を食べてもらわなきゃならないし、だって、片付かないって食堂に怒られるし、その時間に終わらないと、僕が洗い物しなきゃならなくなるから。
いや、そのくらい、って最初はやってましたよ。
でも、年数を重ねて、ここにいると、作らなきゃいけない書類とかもたくさんあるんですよね。
なんか、そういうのが多くて。
たいがい、勤務時間が終わってからやるんですけど。
そういうのも、なんかもうたまってくると、もう「この時間に食べて」「食べさせる」ってのが当たり前になっちゃって。

なんか、畜産ですよね、もう。

こんなんじゃダメだな、って思うんですけど。
でも、彼じゃないけど、思い詰めたらおかしくなっちゃいますから。
もうそういうもんだ、って割り切らないと続けられないんです。

ここのみんなが実家に帰るのを楽しみにしてるのはわかってます。
つまり、ここが魅力的な場所じゃない、って。
それって、すごく屈辱的なことのハズなのに、なんか、みんなが実家に帰って人数が減るのはとても嬉しいことなんですよね。
それもなんかとてもイヤで…。

時々ね、みんなと話したりして、今流行の映画とか、テレビのこととか。
とても楽しく、友人と話すような感じで話してるつもりなんだけど、一方で、「どっちにしても22時から始まるドラマはみんな見れないじゃん」とか冷めちゃってる自分もいる。
子どものことを話してもね、なんか、みんなは正直子どもを産むって考えられないですから。
話題もなんか、なくって…。

話題がないのもそうなんだけど、もう毎日が忙しくって。
朝のトイレや着替えとか、もうベルトコンベアの気分になってくるんですよ。
話す暇もない。
何か話しかけられても、「あとでね」って。
その「あと」って、いつなんでしょう?って自分でもわかってるんですけど。

もっと人数がいればいいんでしょうけど。
単純にそれだけの話なんですけどね。
もっとみんなと話す時間も作れるはずだし、彼もコールを見逃すこともなく、こんなことにはならなかったと思うんですよね。

でも、そもそも、こういう場所って、支援が必要な人を1カ所に集めて効率的にやろうって発想なわけだからね。
なんか、発想がおかしいんですよ。
効率的って。
誰のための?誰に向けた言葉なんでしょうか?

ま、そういうことも考えますけどね。
でも、もう毎日に流されて、毎日自分がイヤになって、なんだか、そんなこと考える余裕もないし、気分でもないんです。

僕は怖いんですよ。
そのうち、みんなのこと、ホントに人間だと思えなくなったら。
いとも簡単に、息をするように、何か、みんなを傷つけるような、何かをしでかしてしまうんじゃないだろうか、って、怖いんです。

いや、今だってきっと傷つけているとは思うんですけどね…。
そのハードルがどんどん下がっていってる気がして。








shisetu.jpg

げすいい

(BGM:Creepy Nuts「教祖誕生」fromYOUTUBE)
→ネトウヨっての?ネット教祖の誕生の瞬間。
リアルだなあ、これ。

私はアンドロイド (15日「施設について呑んで話す会」の宣伝のつもり)


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(創作です念為)


おなかが重い。
きっと生理になる。
また職員にイヤな顔されるんだと思うと気が重い。
なんで生理なんかあるんだろう。

ココのトイレは、そもそも筒抜けだ。
いい職員さんの時はカーテンを閉めてくれるけど、悪い職員に当たるとカーテンも閉めてくれない時がある。

悲しいのは、見えてても騒ぎになることがないこと。
さも普通です、とばかりに、誰も見えるのに見えないふりをする。

私は生きていていいんだろうか。


田舎で生まれた私は、小学校に入る時にここにあずけられた。
農作業をする両親や祖母は、私をトイレに抱える時間を作れなかった。
私は仕方がないと思った。

最初のウチは、同年齢の子もいたから、なんか合宿みたいな気持ちで楽しかった。
でも、それも最初の2週間だけだった。
私は、家に帰りたかった。
年末に帰れるのがとても楽しみだった。

農繁期でなければ、ここにも両親はよく来てくれた。
「従兄弟の○○ちゃん、結婚して東京にいくんだって」
「近所の○○ちゃん、ほら、小さい時よく遊んでくれた、あの子、駅前の銀行に就職したのよ」
そんな話を、両親と兄弟でしていたけれど、なんか、私にはその話、何一つ面白くもなかった。

どっか、私が生きているこの場所は、ある日目覚めたら全部ひっくり返るSF小説みたいな、「設定」なんじゃないか、って思うようになった。
現実感がない。
確かにここで毎日暮らしているのに、暮らしていない。

実家に帰れば、家の家具が変わってて。
最近では兄が結婚して、私には姉ができていて、一緒にお母さんと食事の準備をしてたりする。

町の風景も変わった。
田舎だったこの町にも、セブンイレブンができた。
テレビでよくコマーシャルをやってるトコだ、と思った。
近所に大型ショッピングモールとやらができたとかで、ウチの前の道が混雑するようになった、とお父さんが嘆いていた。

世の中は動いている。
人の人生も、動いてる。
ヲタクで、女っ気が全くなかった兄に奥さんがいるなんて。
世の中どうなるかわからないもんね、なんてお母さんが言う。

私は、年末に帰るたびに、変化していく町や人を眺めていた。
そう、窓から外をのぞくように、眺めていた。

親が何か話す「変化」も、私にとっては、SFでしかなくて。
だって、私の変化はと言うと、生理が始まったくらいだ。
何も変わってない。
私のいるあの場所は、何も変わってない。

季節が変わっても、春秋のいい時期以外は窓を開けるわけでもない。
空調がいつも同じ温度を保ってくれている。
空気も変わらない。

私の部屋は、子どもたちがいる棟から大人の棟に移ったけど、何が変わったわけじゃない。
いや、部屋じゃないな。
ベット。
そして、二段だけの棚。
服を入れる小さいチェスト。
そこに収まっているのが私の世界。
二歩隣には、隣の人のベットがある。
それも何も変わらない。

私は生きているんだろうか?


それでも優しい職員さんがいて、休暇を取って海外にいったとかでお土産をくれたりもした。
でもゴメン。
嬉しいけど、やっぱりなんか、現実感がないや。
外国ってなに?

私は、だんだんわからなくなってきて。
もしかして、ここはこの世を動かす司令塔なんじゃないか?って。
司令塔だから、ここは変わらないけど、ここが動かしてるんじゃない?って。
私はその総統かもしれない、って。

だから、私は生きてるんじゃないし、生きてるのは外の人?私はじゃあ、なに?


情報がそんなにないようなこの場所でも、セックスの話はこそこそとみんなでした。
え?あそこにおちんちんを入れるの?って怖かったけど、でも、今はしてみたい。
してみたい気持ちがわき上がってどうしようもない日がある。
でも、だからって、どうなるもんでもなくて。
何も変わらない。
性欲なんかなくなればいいのに。

子どもの頃から一緒だった仲が良かった○○ちゃんは、キリスト教徒になった。
キリスト教の人は、時々この場所に来て、なんか話してたのは知ってる。
私は真面目に聞いたことなかったけど、なんか○○ちゃんの気持ちもわかる。

だって、なんだかよくわからなくなってくるんだよ、ここにいると。
何も変わらないと、わからなくなってくるんだよ。

だから、何かを信じることで、わからなくなっちゃう自分をなんとかしたかったんだろうな、って。


私はきっと、二年後も三年後もここにいる。
母親が去年死んじゃったから、もう実家に戻ることは絶望的だ。
兄の子も生まれたし、あの家は、もう兄の家になった。

窓から外を見ると、見えるのは木。
木だって、季節によって彩りを変える。
でも、私はここにいて、何も変わらない。

だから、だから、きっと私はアンドロイドで、本当の私はどこかにいて、きっと変化を楽しんで生きているはず。
きっとセックスもして、ステキな人とデートなんかしてるんだと思う。

ねえ、本当の私、そろそろ役割、交換してくれない?
お願い。
ねえ、お願い。









shisetu.jpg

げすいい

(BGM:ARARE「ADVISE」fromYOUTUBE)
→これはHIBIKILLAさんの「最悪ノ事態」と同じバックトラックだな。
内容も3・11の頃の感じの。
まっすぐな政権批判の唄ですね。

涅槃で (15日の「施設について呑みながら話す会」の宣伝のつもり)


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(事実に基づく創作です念為)


職員がバタバタと駆けずる音で目が覚めた。
ベットサイドの台に置いてある時計を見ると、まだ5時だ。
何があったのか、職員に聞きたいが、聞ける雰囲気ではなかったので、黙ってた。

起床時間の6時になって、いつものように職員がきて、オレはベットに寝たまま、溲瓶をチンポコに当てられた。
このまま、出ようが出まいが数分間放置。
決まりがあるのかないのか、数分で戻ってくる時もあれば、けっこうこのままの状態でまたされる時もある。
出たら出たでさっさと片づけてくれないと、動きもできない。
ションベンがこぼれちまう。
でも、それにも慣れた。
オレはこの日、動かないで待ってた。

ここに来たばかりの時は、女の職員にチンポコを触られるたびに勃起して、溲瓶が当てられないって苦々しく言われたこともあったけど、もう今は慣れた。

朝食の時間になって、やっと朝バタバタしていた理由がわかった。
隣のベットのヤツが教えてくれた。

「なんか、8号室の○○君、朝死んでたんだって」

いや、時折、こんなことはある。
そりゃそうだ。
ここに入れられたら、出る時は棺桶と一緒。
そんなことは俺たちの中では常識だった。
いや、諦念かな。

だから、年数を重ねていけば、そんな日があるにはあるんだ。
だから、こんな話にも慣れていた。

これまでなら、「朝死んでた」と言われても、その人のことをよく知らなければ特にもう何も感じなかった。
感じないようになってしまっていた。

けど、今回はちょっと話が違う。
○○は、俺もよく話す、いわば友だちのような間柄だったから。

でも、○○は昨日まで普通におれと話していたし、特に病気だったとかではない。
ただ、身体が弱ってはいて、それはもうそういう障害だからしょうがないんだけど、話の途中で痰が詰まってしまい、オレが職員を呼びに行って吸引してもらったりもあった。

でもまあ、それも二三回あっただけで、そんなに急に死ぬなんて感じではなかった。

昼になって、○○の親御さんが来た。
親御さんはオレの両親と違って、時折ここに来ていたから、オレもよく知っていた。
玄関口で帰るところを捕まえて、「何があったんですか?」と聞いた。

親御さんが職員から聞いた説明によると、夜中に、痰が詰まって死んだ、と。
親御さんは悔しそうに涙をこらえて玄関を出て行った。

オレはその後ろ姿を玄関の内側でながめながら、なんでオレはこの玄関の内側にいなきゃならないのか、初めて疑問に思った。
なんで○○はこの内側にいなきゃならなかったのか、オレは、オレの中にフツフツとわき上がるモノを感じていた。

小学校を出たところでオレはここに来た。
○○はその時、中学を出たところだった。
ココの中にある学校に通い、というか、通ってもいないけど、同じ敷地だから。
一応は勉強もした。

だけど、その勉強は今何かの役に立ってるんだろうか。
計算ができたって、買い物に自由に行くコトができるわけじゃない。

そりゃ、ホーキング博士みたいな人もいるだろうけど、オレはそんなに勉強が好きでもないし、そこそこ生きていけりゃいいと思っているタイプだから。
でも、そこそこ生きていけりゃいい、って、ここが「そこそこ」なんだろうか?

共有スペースにあるテレビからは、どこぞのケーキがうまいだの、どこぞの何が人気だの言うけれど、俺たちには関係がない。
服だって、どんなにイイ服を親に頼んで買ってもらっても、襟首に名前を書かれてしまう。
人気の映画です、っていうけど、いつ見に行けるって言うんだよ。
ウチの親は、年に数度しかここに来ないし、そもそも一緒に外出なんかしてくれない。
それも、服やちょっとした本をもってきて、それと引替にオレの年金を持っていくだけ。

キスはしたことがある。
オレを追いかけ回す女の子がいて。
キスしよう、っていわれて、オレはそのこのことは好きでもなかったけど、キスはしたかったから、不自由な身体をやっとやっと二人で動かして唇を重ねた。
ここでもし、キスをしなかったら、オレは一生キスをできないかも、って思ったから。
きっと彼女も同じようなことだったんだと思う。

でも、それだけだ。
オナニーは後の処理がたいへんだ。
処理にオレは時間がかかる。
だから、職員の見回りの時間をつかんで、時々やった。
なんか、こそこそやってる自分も情けなくなった。

一気になんかいろいろなことが涌いてくる。

いや、待て。
それもそうだけれど、○○はなぜナースコールを押さなかった?
痰がからむって、たいがいの場合、それで急に呼吸が止まることはない。
一気にはそうならない。
だんだん、だんだん、呼吸がつらくなっていくはずだ。
どこかで、職員を呼んでもおかしくない、というか、それはできたはずだ。

考えられることは三つある。
一つは、痰がからんだから死んだ、のではない、ということ。
二つは、職員がコールを見逃した、か、行くのが遅かった、ということ。
三つは、考えたくないが、○○自身が生きるのをあきらめてしまった、ということ。

どっちにしても、この職員の説明は、何かがおかしい。
このことは、俺たちの中でも話題になった。
「職員は何かを隠してる」

俺たちに優しかった、俺たちの側に立ってくれてたと信じていた職員にそのことをなにげなくぶつけてみたけど、なにかその職員もこの件についてはよそよそしくて、俺たちには真実を知る手立てがまったくなかった。

小学校を出た時、「ココは家より安心だから」って、親はオレにいった。
「あなたのためだから」って。

でも、本当にそうなんだろうか。
○○は、本当はなんで死んだんだろうか。

俺たちには、その真相もわからない。
おそらく、その真相を知るのは、俺自身が死ぬ時なのかもしれない。
ここを出て行く時なのかもしれない。






shisetu.jpg

げすいい

(BGM:BRON-K feat.NORIKIYO「PAPER,PAPER...」fromYOUTUBE)
→世の中には金よりも大切なことがある。
そりゃそうなんだよね。
そんなことは誰だってわかってるけど、明日の飯代がなかったらそうも言ってられない。

インタビュー・ウィズ・その男


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(事実に基づく創作念為)


私はもう定年を迎えたんです。
だから、会社には行ってません。
無職ですよ。
ローンも残っているのに、会社は俺をもういらないと。
お恥ずかしい。
嘱託という道もあるだろうに、私には声がかからなかったんですよ。

いや、それなりに頑張ってきましたよ。
人の倍働いた。
他の同期より一件でも多く得意先を回ったし、家に帰るのもいつも夜中でした。

だから、なんか、この会社の仕打ちにはちょっとカチンときました。
だって、45年ですよ。
45年もここで働いてきて、これが最後か、と思うと、なんかもう魂が抜けたようになってしまって。

私には趣味もありませんから。
これからどうやって暮らしたらいいんでしょう。
嫁はカルチャースクールだとかに忙しいし、娘はケンカ別れみたいにして結婚して家を出てますし。

よくよく考えたら、会社がなくなったら、一緒に飲みに行く仲間もいなかった。
会社時代はよく飲みに行きましたけどね。
話すことと言えば、納期の話、上司の悪口、ですかね。
自分のことなんか喋らなかったし、聞きもしなかった。

一人、家でボッとしてるしかなくて。

先日、もうあまりのやることのなさに嫌気がさしまして。
同僚だった男に電話したんです。
そしたら、なんかけっこう嘱託に残った連中や、そうじゃない僕のように退職した連中、早期退職した連中も含めて、魚釣りなんかにいってるらしいんですよ。
ああ、あいつら釣りなんて趣味もあったのか…、なんて、始めて知りました。
45年も一緒だったのに。
知らなかったんだな、って。

いや、もうずっと私、一生懸命働いてましたから。
若い子はもう、なんかヘナヘナしてるでしょ。
人の倍、営業回れって。
靴底がすり減ってなんぼだって、檄を飛ばすんですけど。
でも、なんかそういうのはもう古いんだって、アナクロですからって、若い上司に怒られました。
なんとかハラスメントになりますから、って。

いや、なに言ってんだ!って思いましたよ。
だって、そうやってみんなで頑張るのが仕事でしょう?
だからこそ、仲間意識もできるんでしょうが!って。

あ、いや、仲間意識ってのはおかしいですね。
だって、僕は同期の趣味も知らなかったんだから…。

でもね、若い頃、東京に出てきて、金もなくて。
でも、娘ができた時に一念発起して家を買ったこともありましてね。
娘には不自由させたくなかったんですよ。

だから、そういう「へなへな」した上司はもうほっといて、私は必死に営業しましたよ。
飲みにもずいぶん行きました。
おかげで今はドクターストップですわ。
飲むとね、痛いんですよ、足が。
通風ってヤツですね。
ま、でも勲章だと私は思ってます。
そうやって、営業は勝ち取るんだ、って今でも思ってます。

娘はね、そんな私を煙たがりましてね。
ま、娘なんてそんなもんでしょ?
深夜遅く帰って、娘の顔を見ようと娘の部屋を開けたら怒鳴られるし…。
誰のために働いてると思ってんだ!って思いましたけど。
嫁も、「なんで娘の部屋に入るのよ」なんて娘の応援ですよ。
せっかく建てた家なのに、なんなんだろう?って思いましたけど。

そしたらね、娘がなんかのNPO?ユニセフとか?、よくわかりませんけど、そういうなんか団体に勤めまして。
いや、いいことだと思うんですけどね。
恵まれない子に何かしてあげよう、みたいなことなんでしょ?ああいうのは。

そしたら、そこの同僚と結婚するっていうんですよ。
それがまたなんだかヘナヘナした男でね。
「自分らしく生きたい」なんて言うんですよ。

男は必死に靴すり減らして働くもんだろ!と怒鳴ろうと思ったんですけどね。
できなかったですね。
もう、娘は私とは一切口聞きませんでしたし、嫁と娘でもう結婚式の日取りまで決まってた。

私ね、そういう慈善事業みたいなの。
いや、素晴らしいと思いますけどね。
でも、なんかヘナヘナしてるでしょ。
ステキな世の中にしよう、って、それもわかりますけど、なんだか許せなくてね。
私は必死に働いてきたんだ、って思うと、なんか、そういう連中、ヘナヘナでしょ?
キライなんですよ。
自分らしくってなんですか?そもそも。


そしたらね、インターネット見てたら、わかったんですよ。
ま、ヒマですからね。
インターネットくらいしかやることないんですわ。

え?、あ、わかったことですか?それはね、もう簡単なことだったんです。

あいつらね、日本をつぶそうとしてるシナかチョンですよ。
私を嘱託で残さなかった人事部長もきっとそうです。
もしかしたら、同期で俺をのけ者にして釣りに行ってる連中もそうだと思います。

日本をヘナヘナにしてね、あいつら、乗っ取ろうとしてるんですよ。


え?なんでそう思ったか?ですか?
だって、それしかないじゃないですか。
なに言ってんですか?
簡単なことなんですよ。

じゃなきゃ、私がこんな風になってませんよ。
だって、私は必死に生きてきたんだから。
あいつらが妨害したんです。

いや、それを直接はまだ彼らには言ってません。
娘にも言ってません。
今は、ネットにそれを書き込んでるんです。






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げすいい


(BGM:鬼「小名浜」fromYOUTUBE)
→「部落育ち 団地の鍵っ子 駄菓子屋集合 近所のガキんちょ
ヤクザの倅か母子家庭 親父がいたのも七つの歳まで
二歳の妹がいようと死のうとするお袋に「帰ろうよ。僕が守るから大丈夫」」
…この曲、かっこよすぎだわ。
全ての音楽ファンに聞いてもらいたい。

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