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スーパーちんどん・さとう

Author:スーパーちんどん・さとう
ちんどん太鼓担当

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闇の底 (創作)


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専従募集


(創作ですよ念為)


 桃子は、生まれつき足が悪かった。
 桃子は、小学校に上がるまで、自分はどこにも行けないのだと思いこんでいた。
 けれど、入学と同時にもらった車いすが桃子の人生を変えた。
 この車いすに乗って、自分はどこへでも行けるんだ、って彼女は思った。

 僕は、そんな桃子が嬉しかった。

 桃子が、大人になって、一人暮らしをするといって、親は困惑したけれど、桃子はそれをいとも簡単に始めてしまった。
 両親は拍子抜けしたけれど、桃子は、また自分に翼が生えたような気がした。

 僕は、そのときも、そんな桃子が嬉しくて、おめでとう、と言った。

 そして、桃子は恋をした。
 相手は車いすに乗った人ではなかったけれど、いい人だった。
 端から見ていれば、彼は、ただいい人だっただけだったけれど、桃子は、それを間違ってしまっていた。
 彼は、桃子からのメールはすぐに返したし、車に乗せてやることもあった。
 彼はとてもいい人だったから。

 僕は、彼に桃子の気持ちを言ってみたらいいよ、と言った。
 それで桃子の気持ちにピリオドが打てるのなら、と思ったから。
 でも、桃子は、僕にこう言った。
 「このままでいいんだよ。」

 そして、その後、彼には彼女ができた。
 桃子ではなかったし、車いすに乗った人でもなかった。
 その後、幾度かその顔は変わり、そのウワサは桃子の耳にも入った。
 けれど、桃子は夜になるといつも僕に言った。
 「このままでいいんだから。」

 彼はそのうち、桃子のところに顔を出す機会も減り、僕から見たら、桃子を忘れたようにも見えた。
 でも、桃子は、いつも玄関でノックする音を聞けば彼が来たのではないかと期待していたし、出せていないメールがたくさんあったのも僕は知っていた。

 桃子も、50歳を過ぎて、ほとんどが寝たきりになって、死にゆこうとしていた。
 夜更け過ぎ、そのベットの上から、桃子は僕にまたこういった。
 「これでよかったでしょ。」

 そして、桃子は死んだ。

 そして、僕は、桃子に自分の気持ちを彼に言った方がいいと言ったことを、恥じた。
 人には暴かれたくない闇がある。
 その闇の底のなさを知っている者は、自分で闇を暴くことはない。

 でも、闇を暴こうとする人間はいる。
 無意識なんだろう、よかれと思ってなんだろう。
 僕は、桃子の死後、彼の耳に桃子の気持ちが伝わっていることを知った。
 彼が桃子のところに来る回数が減ったのはそのためだった。
 桃子がドアをノックする音に毎回絶望したのは、それが理由だったことも知った。

 もし彼女が車いすに乗っていなかったら、アパートの2階の彼の部屋にも押しかけることができたかもしれない。
 彼がうちひしがれたときに、優しくリードして、彼のモノを口に含むこともできたかもしれない。
 でも、そんなことは、桃子の身体ではあり得ない話だった。

 つまり、桃子は、彼の人生という舞台に上がってもいなかった。
 彼が二人の女性に言い寄られて困っていたときも、付き合っている彼女にふられて悲しい思いをしているときも、桃子の出番は、あたりまえのように、
 なかった。

 それを桃子は知っていたんだ。
 そして、そのまま、死のうとした。
 彼女はそれを自分で確かめようとはしなかった。


 いや、でも本当は違う。
 桃子は彼を悲しませた彼女を恨んでいた。
 そして、彼をも本当は恨んでいた。
 つまり、桃子は自分の闇に、気づいてしまっていたんだ。
 でも、蓋をしようとして、彼女は「このままでいいんだから」と言ったんだ。

 あの夜、大好きな男のモノを咥えていた女の顔を、彼女は殴りたかったけれど、彼女には殴ることはできなかった。
 結果的に自分を追いつめている彼の優しさにも、殴りたかった。
 殴れない思いは、闇の底に沈んだ。


 僕は、彼女の影だ。
 だから、僕にはもうどうすることもできないし、できなかった。
 彼女の墓の前で、彼女が生きていたという、みんなの中の記憶が薄らいでいくと共に、僕ももうそろそろ消えるのかもしれない。


 ならば、最後の最後に時限核爆弾を作ろうと僕は思い立ち、それを一週間で完成させた。
 そして、そのスイッチを1時間後にセットした。
 一秒ごと、LEDの数字が減っていくのを確認して、リュックに入れ、渋谷に向かった。
 桃子は歩けなかったのだから、僕が向かうしかないのだ。

 日曜の午後、歩道にあふれる群衆。
 ここがいい。
 僕はスクランブル交差点で爆弾を確認すると、LEDはあと10秒を表示していた。
 10・9・8・7…。
 僕はそのリュックを背負い直した。
 そして、LEDはついに0を表示し、闇はどこにもなくなった。

 さようなら桃子。







tanndokuchuu.jpg

baka.jpg

(BGM:Fantastic Plastic Machine「God Save The Mona Lisa」from「COOL & RELAX」)
→あまりに完成されすぎて、よくできたAORに聞こえますね。
FPMのある意味での真骨頂とも言えるけど、なんか食い足りない感じもあり。
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ドキドキ (創作)


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専従募集



一年前、結婚した。
なかなか出会いもなかったし、いい年にもなったから、相手を一生懸命探してた。
そんな中、友だちの紹介で出会った人と何となく付き合って、プロポーズされて

今思うと、特別好きではなかったのかもしれない。
その時の最高の判断だったとは思っているけど。
まあ、結婚ってそういうものだとみんな言うし。
親も私にそう言った。
「そろそろ身を固めなさい。」

でもなんか、もう少しドキドキするものだと思ってたな。

彼も、私が好きってより身を固めたかったっぽい。
彼は私を束縛しないし、自由にやれる。
そこそこの給料。
そこそこの会社。
時々セックスして、一緒に寝る。
ケンカもあまりしないけど、フザケあったりもあまりしない。

もう少しドキドキするものだと思ってたな。

家に誰かがたずねてきてくれることもあまりない。
私が結婚したと聞いて、それまでの独身仲間は私を誘わなくなった。
別に誘ってくれていいのに。
私が飲みに行くと言っても、彼は許してくれるんだし。

もう少し、ワクワクするものだと思ってた。

独身仲間だった子たちは、今でも「イイ男がいない」って口をとがらせながら、それでも楽しそうに夜遊びを繰り返してるみたい。
私も三年前まではあの仲間だった。

でもどうだろう。
私、勝ち組なの?


同輩の男の子たちは、仕事ができて、男友達も多いイケメンからどんどん結婚していっちゃった。
高校の同級生と、ってなんだよ。
そもそも私に勝ち目ないじゃん。

同僚の女の子と男を取り合いたくもないし。
どっか私は引いてたのかもしれない。
波風立てるのはゴメンだもの。


女が独りで生きて行くには、今の世の中はつらすぎる。
勤めて5年も6年もすると、仕事でも重要な役どころを任されるようになって、まあ恋愛どころじゃなくなっちゃうし。
私が独身と知るや「え、結婚してないの?」「いい人紹介しようか?」と、まるで絶滅動物を見るような目で見てくる。
始末に負えないのは50くらいの管理職。
「俺ならほっとかねえなあ」って、願い下げだよクソオヤジ。

年下の新人の男の子はどこか「あわよくば」を狙ってたりして。
それが自然ならまだいいけど、ミエミエなことが多いのよね。
私はあなたより10年も先に社会に出てますからね。
たいがいあんたがた男がナニを考えているかくらいわかりますよ。
お坊ちゃん。


まわりにはイイ男はみんな落ち着くところに落ち着いちゃって。
一時、その中の一人と不倫してたことはあった。
みんなに隠れてメールしたりして。
こそこそするのもなんか刺激的だった。
それに、彼も私に申し訳ないと思ってたんだろうな。
会ってた時はとてもやさしかったし。

でも、これじゃダメだな、って思って、一年くらいで私から別れた。
もちろん彼は受け入れてくれた。
ちょっとホッともしたんじゃないかな。

でも、今考えたら、あの時が一番ドキドキしてたかもしれないな。


そんなことしてたら、いつの間にかお局様の仲間入り。
まあ、仲間もいるからそれでどうこうはあまりないけど、彼女たちと「イイ男がいない」って言い合ってるのもなんか空しくなちゃって。

親は見合いをすすめてくるし、なんかもう結婚しちゃった方が楽なのかな、って思ったのかな、わたし。
それに、やっぱり結婚に憧れはあったし。
ちょうど、高校の同期の子が紹介してくれた男の子がマジメそうで。
イイ男とは言えないけど、マジメな人がいいよな、と思って付き合った。
その同期の子も「付き合うことにした」って言ったら喜んでくれたんで。
で、結婚の話をしたら親も喜んでくれて。
なんか、私も嬉しくなったりしてさ。

新居に引っ越したり、なんか私も変わるかな、って思ったんだよね。
明るい未来が待ってるような気がした。

でも、思ったより平坦だった。
結婚って、もっとドキドキするものだと思ってた。


私がこんなことを急に思ったのは、二日前の出来事があったから。

私のちょっと下の部下に言われたんだ。
一緒にプロジェクトもやった、なかなか素直でいい男の子。

急に彼、私に言ったの。
「先輩、僕とじゃダメですか?
やり直せませんか。
だって先輩、いつのまにか結婚しちゃって。
それで幸せそうならまだあきらめもつきますけど…。
今の先輩、ぜんぜん幸せそうじゃない…。
僕ならそんな思いはさせません。
ずっと先輩のこと思ってました」

私ね、その時、アタマが真っ白になりながら、真っ先にこう思っちゃたの。
「なら、なんでもっと早く言ってくれなかったんだよ」って。

そして、ものすごくドキドキした。









表中

(BGM:Disorder「Joleen」from「PUNK COVERS」)
→ま、ほんとですか?と。
面白いレアトラックであることは間違いなさそうであります。

うそ (中条きよしさん風に)


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(創作です念為)


私じゃダメなんだ。
私じゃダメなんだ。
…口の中で、何度も何度も繰り返すのが癖になった。

彼はみんなの人気者だし、頼りにもされてる。
私はその輪の中に入るので精一杯。
彼は私にも優しいし、それは仲間の誰に対してでも同じコトで、それ以上でも以下でもない。

でも、私の頭の中はあなたのことで一杯だった。
いや、毎日会えなくなった今でもそう。
頭の中ではあなたのことばかり思い出してる。

こんなことなら、いっそ足蹴にしてくれればよかったのに。
でも、あなたはそんなことしない。
そもそも、私はあなたに告白もしてないもの。
あなたは私の全てなのに、あなたにとって私はただの大学の同窓生でしかないのよね。

彼には大学時代から付き合ってる人がいた。
それはステキな人で、いつだって彼と一緒に仲間の真ん中にいた。
いつも笑ってて、みんなが寄ってくるような笑顔。

あの場所に立ちたかった。
あなたの隣に立ちたかった。
きっと彼女を見る私の顔はひどく醜かったろうな。
でも、それでも一生懸命繕っていたのよ。

こんな私の本心を話せる人はいなかった。
彼のことで頭がいっぱいなんて言ったら、この仲間の輪の中にいられなくなる。
彼と会えなくなる。
話せなくなる。

あなたは気づいてなかったかもしれないけど、私、あなたと会う時はオシャレしてたつもり。
っても、そんなに服は持ってない。
だって、ウチは貧乏だから。
学費だって自分で稼がなきゃならなかった。
みんなにも、そしてもちろんあなたにも言ってなかったけど、スナックでバイトしてた。
その方が割がいいから。
家庭教師してたなんてウソよ。
私、人に勉強教えるのは苦手だし。
それに、私が小さい頃、親も夜はホステスしてたし。
なんかね、水が合うんだな。

私には趣味とかないし。
食べるものにもそんなにこだわりないし。
お金もそんなには使わなかったから、できるだけ、お金は服に回してた。
だって、あなたに会うんだもの。

母は一人で私を育ててくれて。
大学は無理して入れてくれた。
「私のようになってほしくない」ってのが口癖で。
一人っ子だったし、母は働きづめだったから、まあずっと一人だったな。
中学生とかの頃から暗い子だって男子には言われてたみたい。
まあ、気にしなかったけど。
っていうか、気にしたってしょうがないし。
どうにもできないし。

彼女はさ、いつだってステキな服を着ていたし、時には最新のスポーツブランドのジャージなんか着てたりして。
着替えるときに見える下着もステキだったな。
彼女も私も自宅生だったから、「家賃がかからなくて幸せ!」なんて言い合ってたけど、でも、ホントは私は必死だったんだ。
卒業間近には親も身体壊して昼の仕事を辞めたりしてさ。
親の食費だって、病院のお金も稼がなきゃならなかったから。

私、抜け出したかったのかな。
あなたなら、私をここから抜け出させてくれると思ったのかもしれない。
本当のことを全部言えて、あなたに私を抱きしめて欲しかった。

でも、いつだって私は本当のコトなんてみんなに言えなかったし、独りぼっちだったのかもしれない。
ずっと。

ああ、そうか。
ずっと私は独りだったんだ。
あなたに手を取ってもらって救って欲しかったな。

毎晩ね、気が狂いそうだった。
今、彼女があなたのアパートに行ってるんだろうな、って思うと。
彼女と抱き合ってるんだろうな。
きっと彼は彼女の大事なところを舐めたりしてるんだろうな、って思うと、胸が張り裂けそうだった。

考えないように、考えないようにするんだけど、でもダメだった。
どうしても、二人が裸で抱き合ってるところが頭に浮かんじゃう。
だから、自分を捨てなきゃ、って。

スナックでのバイトは、そのためにも好都合だった。
お客さんと話すことはさ、たいがいウソだから。
ウソをついている間は、あなたと彼女のことは考えなくて済んだ。
だって、私じゃないもの。
違う私が喋ってるんだから。

抜け出したかったな。
イヤだった。
ウソをついている自分がイヤだった。

そう、ホントのことを言いたかった。
あなたのこと大好きだって、大声で叫びたかった。

でも、そうしたら全てが終わっちゃうのもわかってたんだ。
だから、私はウソをつき続けた。
じゃないと、毎晩私は気が狂ってしまう。

でも、卒業しちゃったらさ、どっちにせよ終わりだったのよね。
あなたにはこれまでのように毎日会えないもの。

私、正直言うと、卒業して、ずっとあなたに会えなかったら忘れられるんじゃないかと思ってたんだ。
私も就職が決まっていたし、新しいあなたが見つかるんじゃないかって。
いや、見つけようとしたの。

それでね、今の旦那と結婚したんだよ。
結婚式であなたと彼女に久しぶりに会って。
わかったのよ。
あなたのこと、やっぱり好き。
彼女になりたい。
すてきな下着をつけて、あなたに抱かれたかったな。

いや、旦那はいい人。
だから、申し訳ないと思ってる。
子どもにも。

でも、やっぱりあなたが好き。
40歳になってね、あなたと最後にあったのは三年前の同窓会だけど、それでもあなたが好き。

高校生になった娘は、とてもいい子だし、旦那は優しいし、きっと幸せな家族なんだと思う。

でも、それが許せないときがある。
幸せを、私は演じてるんだ。
また私は、まだ私はウソをやってるんだ。
悲しいことから抜け出すために、私は結局ウソをつき続けてるじゃない。

時々髪をかきむしって叫びたくなる。
けど、なんとかその衝動を自分の底に押し込めて、私は娘のために夕飯をつくる。
死んでしまった自分の指を見て、知らぬうちに涙がこぼれる。

ああ、あなたに出会わなきゃよかったな。

そうしたら、私は正直でいられたんだろうか。
それとも、






反省できあがり中

(BGM:真心ブラザーズ「きいてる奴らがバカだから」from「BEAT EXPRESS ROCKS 」)
→この人たち、夕方のなんかバラエティみたいなのに出て、勝ち残ったんじゃなかったっけ?
当時見てた気がする。
で、この曲のタイトルの付け方ですよ。
これがまあカッコいいじゃない。
内容聞くと、別にタイトルはココの部分じゃなくていいんじゃないの?って気がしますけど、でもあえてこの部分をタイトルに持ってくるあたり、姿勢が見えていいなあ。
こういうのだよね。
こういうのが結局最後、売れるのよ。
そういうバンドでいたいよね。

恐れていた未来


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(創作です念為)


君子は小学校の頃から先生に厳しくいわれてしまうタイプだった。
多少のいたずらでも笑ってすます先生も、君子がちょっと消しゴムのかすを床に落としただけで大声で叱責した。
それでいて君子は先生の言うことは聞かなきゃいけないと思ったから、素直に従った。

おちゃらけた男子生徒がふざけて他の女子生徒の鉛筆などを隠してしまうと、烈火の如く怒った。
そんな時、大騒ぎになって、きまって君子が先生に怒られた。
鉛筆を隠された女子も、どこか笑っていて、君子をかばいもしなかった。

君子は服装に気を使わない子だった。
それは大学に行っても変わらず、毛玉のついたセーターをいつも着ていたし、ちょっとふっくらしたその体型にはおおよそ似合わないぴったりしたズボンにシャツを入れたりしていた。

でも、君子はマジメだったから、授業もサボらないし、ノートも完璧だったから、他の生徒からは最初は頼りにされた。
けれど、正義感の強い君子は「授業も出ていない人にノートは貸したくない」と拒否。
いきおい、大学の仲間からも浮いた。

そんな君子だけれど、かといって成績がいいわけでもなかった。
つまりは、要領が悪いのである。
なにを覚えて、なにを捨てればいいのか、がわからなかった。

それでも、授業には出てるわけだし、先生からのウケがいいか、というとそうではなかった。
小学校の時と同じように、先生はよく君子を叱った。

ゼミの時だった。
とある地方の歴史を調べるという発表の時、君子は細かい字でびっしりと図書館で調べたことを書いたレポートを提出したのだが、それは確かに努力の跡は見られるモノの、的外れだった。

それでもまあ、努力したんだからしょうがないわな、君子だし、とゼミ生は思ったのだが、先生は、それを徹底的に指摘した。
その指摘は、細かい、本論にあたらない部分にまで及び、ゼミのほとんどの時間を費やす結果となった。

他のゼミ生も、「もうそのくらいでいいんじゃないの?」と思ったが、それを君子は黙って聞いていた。
その表情は、泣くでもなく、怒るでもなく、それがまた他のゼミ生を不安にさせた。

彼女は、大学院に進んだ。
というか、就職ができなかったのである。
けれども、就職浪人するのは彼女のプライドも許さなかったのだろう、と他の同窓生は思った。

しかし、大学院に進んだところで、彼女の「要領の悪さ」は、治らなかった。
が、君子が大学院を出る頃はまだバブルの余波があった。
大学院を出たということを買われて、教授の紹介でとある図書館の司書となった。

彼女はそこでも真面目に働いた。
要領が多少悪くても、そもそも人数の少ない職場だったから、まわりにはそんなに影響しなかった。

世の中はバブルが弾け、図書館の司書という仕事は役所の正職から、派遣扱いとなった。
彼女はそこでこのまま続けるかどうかを一応考えはしたが、そのまま続ける決断をした。
というか、彼女はどうやったら他の仕事に就けるのかがよくわかなかった。
そして、彼女には他の仕事に就く相談をする相手がいなかった。

彼女の部屋は、大学の時から同じアパート。
六畳にキッチンがついた狭いところで、手入れがあまり必要のない観葉植物を部屋に置いていたから、なお狭かったが、その部屋には自分以外の人が上がったことはない。
自分一人が寝るだけの部屋だから、そんなに不自由はなかった。

その生活を、もう彼女は15年近く続けていた。

近所に住む大屋さんのお婆ちゃんはとても優しく、彼女のことを見かけると必ずあいさつをしてくれた。
けれど、そこの息子は、みかけるたびにいつも君子を蔑むような目で見てきたが、君子も彼には興味がなかった。

2年に一度、自分を担当してくれた大学の教授の集まりがあって、そこに君子は必ず出席した。
大学の頃に着ていた毛玉のセーターを着て、当時と同じ丸い大きなサイズのメガネをかけて。
君子はこぎれいにはしているものの、服装に無頓着なのだ。
他の同窓生はそれを知っているから、もうなにもいわない。

彼女の近況報告は毎年変わらなかった。
彼女の中では、なにか細かい変化はあるようだったが、それは他の同窓生から見ると、なにが違うのかわからなかった。

結婚した、転勤した、子どもができた、そんな話に花が咲く同窓会の中で、彼女の存在はかなり浮いていたが、彼女自身がそれに気づいてなかった。
同窓生の中には「あの子、どうして毎回来るんだろう」といぶかしがる者もいた。

というか、君子にはスケジュール帳に書き込む予定がなかったのだ。
誰かとどこかに飲みに行くこともない。
仕事のパートナーの女性二人はそれぞれ家庭があり、飲みに行く雰囲気はないし、やることといえば、買い物と好きな本を買って読むこと。
彼女の家にはテレビもなかった。
聞けば、小学校の頃から家にはテレビがなかったらしい。

彼女が40になった頃、彼女の後輩にあたる大学院生だった優子と駅前でばったり会った。
今日ヒマだから、お茶でもしませんか?という優子の誘いを君子は断らなかった。
特に今日もすることはなかったからだ。

そこで話は盛り上がらなかった。
優子は、ちょっと話を盛り上げようと自身がいま不倫をしていることを君子に話したんだが、君子は「そんなことはやめなさい」というだけで、話は終わってしまった。
静寂の中、二人はイイ時間で喫茶店を出た。

君子は今、50になった。
彼女はそのままあのアパートに住んでいる。

大屋のお婆ちゃんや、ちょっと会話を交わせる人はいるし、時々思い出したように、同窓生に電話をすることもある。
けれど、彼らは、彼女と深く付き合うことを避けた。
そして、避けられていることを彼女は気づかなかった。

彼女の人生には、なにも起こっていない。
朝図書館に出かけ、買い物をして帰ってくる。
寝て、また起きて図書館に出かける。

でも、彼女はそれ以上のことを望むことはなかったし、処女であることにも疑問はなかった。
時々、劣情のようなモノが涌いてきて、自分の股間に手を滑らせる夜もあったが、それはそれで満足して次の日を迎えた。

とりあえず、一人が慎ましく食べていくだけのお金はもらえているし、年金も払っている。
それ以上になにが必要だろうか。

だって、君子は正しく生きているのだ。
そして、その生き方こそが、教師や教授が恐れていた未来だったことに、彼女は気づかなかっただけだ。




bakagann.jpg

(BGM:Mad Caddies「Leavin'」from「Fat Music volume 6 Uncontrollable Fatulence」)
→この曲はこのコンピの中でも異色なんだけど、いや、センスいいよね。
いきなりカントリー調で始まったかと思いきや、いつの間にかパンクになっている。
と思ったら、なんだかリパブールサウンド風?に変化してたりして。
全編にわたるホーン隊がなかなかかっこよくて、これはただ者じゃないわ。

4/23津田沼に来てね① ★ 「ストッキングが伝線してる」


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4/23(火)は千葉の津田沼でスーパー単独ちんどんとして弾き語りをします。
ぜひ来て欲しいと思っています。

moutokulitt.jpg

occhi.jpg

2019年4月23日火曜日18時~
津田沼 Mediterraneo


というわけで、この日に向けてちょっと新曲を考えています。



(未完成曲のプロット①)

会社を飛び出て駅まで走る
ストッキングが伝線してる
気づいているけど、もう時間がない
保育園に急がなきゃ

ウチの子は、他の子とちょっと違う
ごめんが言えない
ありがとうが言えない
他の子のおもちゃをすぐに取っちゃう
気に入らないと叩いちゃう
先生の話も聞かないでずっと外にいたりするって

再来年は小学校なのに
このままでだいじょうぶなんだろうか

最初は「私たちも目が届かなくて」って言ってた保母さんの言葉も
最近は「困るんですよね」に変わってきた

他のお母さん達の目も痛い
乱暴な子、って
ちゃんと育ててるの?って
お母さん達の目が私に言う


朝早くに起きるよ
洗濯も干さなきゃいけないし
息子の弁当も作らなきゃいけない
そしてトーストだけでも朝ご飯も食べさせなきゃ

まずは息子の保育園
家を出てから、また昨日と同じ服を着てしまった自分に気づくけど
でももう時間がない
信号待ちの数分の間に鏡を見る
白髪染めの代わりにと染めた髪はずいぶん先っぽに行ってしまったな

なにせ、通勤に1時間以上かかる
それでもやっと見つけた職場だから
拾ってくれた社長さんには感謝してる
社長のためにも遅刻はしたくない
それでなくても、保育園に呼び出されて早退することも多いから

そうだ昨日の晩は眠たくて連絡帳を書き忘れちゃったから
急いで書かなきゃ
保育園に着いてからあわてて書く
保母さんの目が痛い

夕飯を作って、食べさせるけど、息子は偏食
いろんなモノを食べさせなきゃと思っても
時間がない
身体がついていかない
仕方ない
今日もスパゲティにしよう
息子は麺類なら一人で食べてくれる

しょうがない今日だけ
しょうがない今日だけ


息子は風呂は好きだから
私はとても助かる
でも、隣に寝てやらないと、いつまでも起きてる
いつまでも起きてられると台所も片付かないし洗濯物もたためない
だから、一緒に横になるけど、たいがいは私も寝てしまう

夜中の2時頃に目が覚める
持ち帰った仕事がある
残業できない分、がんばらなきゃいけない
そうは思うけど
眠さには勝てない

でも、明日の弁当のためのご飯だけはセットしなきゃ
泥をかぶったように重たい身体を引きずってそれだけはやろう

これ以上保母さんの目が怖くならないように


残業をしない、仕事を持ち帰らない、というのだったらラクだけど
そうなると、給料がガクンと下がる
それではこの子を育てていけない
それでなくとも、この子の将来を考えると、なんだかお金は必要な気がする

この時間になると
毎晩涙が出るよ
この子と二人で、私はやっていけるだろうか
この先ずっと
やっていけるんだろうか






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bakagann.jpg

(BGM:Orquesta De La Luz「Salsa [私はピアノ]」from「COVERS !」)
→何語なのか、スペイン語?
このカバーはいいですね。
カバーがカラオケと化していない。
名カバー。

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