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スーパーちんどん・さとう

Author:スーパーちんどん・さとう
ちんどん太鼓担当

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虹の会機関紙7月号が発送されました。
にじ屋でも配布していますし、またツイッターのDM等でお伝えくれれば郵送もします。
多くの方に読んでほしいと思って毎月作っております。

今月号は96ページあるので、まあ大変なことですが、JR駅無人化に関する市との話し合いの経緯、にじ屋のレジ袋に関する声明などから、個人のいろいろなコラム記事まで満載であります。

その中から、ちょっとだけですが紹介します。


まず、コウヘイが書いた「たんたん房に行った」という記事ですが、これは6月の終わり、収まった感染者が増える前に、近所の飲み屋ならOKということになって、それについて書いたモノです。

「たんたんぼうのこと」

月ようにおとんにのみに行こうとして、歩いてみせにむかってるとき、休みかもしれないてゆうお話なった。
おみせについたら休みだった。
自分は悔しいです。
ムカツキます。
その時みんなはえーまじかよーとさけんでんでた。
おとんのみせの前でのむ?はなしをした。
今日行くのをやめるか?ちがうみせに行くか?
そうだんしました。
ちかくにあるたんたんぼうに行くことにした。
外口さん、井上さん、陽ちゃん、みずえちゃん、すずちゃん、自分、孝信でたんたんぼうに行きました。
自分がおとんに行こうとみんなをさそいました。
おとんには行ったことがないです。
どうしておとんに行きたかったというと、カラオケバンバンのとなりのいざかやさんおとんがきになっていて、いってみたかったからです。
サッカーのこと
音楽を聞いたこと
アイドルのこと
少年だんのこと
大宮北特別支援学校のこと。
つうちひょうのこと。
ジャニーズの写真を外口さんにみせた。
バスケットのこと。
市丸君と一緒にバッティングセンターにやくそくすること。
この話しをしてもりあがった。
とくにつうちひょうの話で好きなきょうかの話なって
自分は地理が好きでした。
好きな理由が先生がおもしろいから。
てゆう話をしたら外口さん、すずちゃん、もわかる、と言っていて、うれしかったです。
話が楽しかったです。
お店が休みじゃないときに、おとんに行きたいです。

コウヘイ


次に井上が書いた、コロナの自粛中に目覚めたという料理のことについて。

「色々チャレンジ中!!」料理のこと

6月号のおれの連載コーナーでも書きましたが最近夕食を作るのに目覚めました。
今は、コロナの影響でどこも行けないからかな~。
本当だったらもう毎週の用にこうへいと「ハマスタ」に行ってるのに、今年は、どこも行けてないので夕食を作ろうと思いコロナにかからない用に、健康に気を付けています。
※まあ、今年に夕食を作るのに良いチャンスでしょう。
でも、最近よく作っているよ。
にじ屋で体は、つかれているのに、気もちは、夕食を作ってしまう、最近のおれです。
1月、2月のさむい時は、おなべとかカレーシチューを作っていました。
でも、今は、かんめんにはまっています。
「つけめん」です。
魚悦とかで、かんめんを買ってきて汁を作けて食べてます。汁なんか、前は、1時間かけて作ってたのに、今は、10分ぐらいで作ってしまう。
野菜は、加納さんの実家野菜を使っています。
やっぱ、とりたての野菜はいいな~。
毎週もらってるやぁ~。なので足りない肉は魚悦で考えながら買ってます。
それに、包丁の切り方もうまくなってきた気がします。
おれは、方手で包丁つかうのは、本当は、あぶないけどかるがると、工具して使っています。
でも、千切りは、まだやってません。
野菜を大きめに切ったりしています。
おれは、作っているので作った次の日亜希ちゃんや、米本さんにも色々な人に「昨日?作ったよ~。」とか報告しています。
報告してるおれは自分でもうれしくなります。
なぜか、米本さんとかから「色々なアドバイス」をもらえます。アドバイスを聞いて自分なりにできるともしやってます。
ネットの朝ごはんでナスのいためものを食べました。これは米本さんが作ったらしくおれは、米本さんに「どうやって作ったか」聞いてみました。
ナスのいためものを自分で作ってみたくなりまねして作って見ました。
「みそ、ごま油、めんつゆ、さとう」でした。
1回、2回作って見て亜希ちゃんたちの家で食べてもらいました。
やっぱりナスがよくやわらかくなってなくていためものでした。
でも、もう1回作ろう。
マカノリサラダ、カレー、シチュー、ハヤシライス、お肉のいためもの今まで色々作ってきましたが、先日、NO1位にするメニューがあります。
上沼恵美子さんの番組でやっていた。
パプリカハンバーグです。
上沼さんのメニュー1つはまねしようと思っていて自分でついに見つけました。
パプリカハンバーグは、おれは、ひき肉、にんじん、たまねぎを入れて見ました。
パプリカを横にしてわぎりにしてお肉を入れましたが、やく時ぐちゃぐちゃになってしまいました。
おれは、上沼さんみたいに形にやりたかったが、おれには、むりでした。むずかしいな~。
でも、みじん切りはとってもうまくなったよ。
包丁のさきっぽを、上にして下におろすやり方でにんじん、玉ねぎのみじん切りを1時間ぐらいやってたっけ
もちろん「ワイン」を入れてね。
上沼さんの番組は、けっこう楽しいのでもっとできるのかあったら挑戦していきたいです。
上沼さんの番組は、平日のお昼にやっているので、今、おれは、火曜日1回しか見る事ができません。
本当だったら毎日の用に上沼さんの料理番組を見たのだけどそれはむりです。
もう1つの休みは、今、土曜日になっています。
だから1回しか見れません。
土、日の休みじぁなかったらあと1回上沼さんの番組見れたらもっと色々な料理を真似できるのにな~。
たって~、上沼さんの番組は、おもしろいしとっても勉強になります。
今はくやしいな~。週1回だけしか見れなくて。
佐藤先生もたま~に上沼さんのお料理番組見てるって、この前訓練でおれに言っていました。
上沼さんのお料理番組土、日にもやってくれればいいのに~ってかんじ~。
毎日、不思議な、調味料を使ってくるから、どの曜日で何の料理を作るか分らないので、毎日、「上沼さんのおしゃべりクッキング」を見れたらな~と思うこのごろ!!
そしたら、今よりもっと不思議なお料理がチャレンジできのだろうな~。
料理をすることによってごはんを作ったあとのあとかたづけもしっかりするようになりました。
1回やればはまってしまうおれは、あとかだづけした後の水回りは、‎しっかりしています。
食器などかたづけたあと台所まわりに水があるので水をタオルでふくのをおぼえて今もやっています。
だから、水回りは、とってもきれいです。
すごいな~。
おれは!!
夏は、とくに水回りか大事です。
なぜ、水回りをきれいにしているかと言うとふだんにじ屋とか、ネットで台所まわりを、け~子さんが色々やってもらっています。
それを、おれは、ずっと見ていました。
まねをしてみようと思う気もちがあり毎回おれも、ごはんの最後に水回りをタオルでふいています。
人の真似するってすてきで良い勉強になるな~。
良い所を真似すると今度何を真似しようかな~って気もちになります。
良いはすぐ学ぶ事!!勉強になり次どうするのが、自分で考えられるので真似して覚える事です。
け~子さん、すごいな~。
あと、買い物いっても今までは、ただ安いものしか買っていませんでした。
「意味」分らずに、だだ安ければいいや~と言う気もちで買い物していました。
亜希ちゃんたちに教えてもらいみきり品は、その日の内に食べる事をね。
「おとめ品」もその日の内に食べる事を教えてもらいました。
みんなから色々な事を、教えてもらったのでゆっくりごはんを作るのをつづけていくおれです。

いのうえ


次は、カズミの健康診断の話。

「マスクとモトミ」

 先日、モトミとふたりで健康診断に行きました。全員一緒にというのは人数が多すぎるそうで、1日ふたり~3人くらいで振り分けられたので。
 モトミは病院に着いてから、プンプンしていました。ちょっと話しかけても、「○※△#×◆!」となんだか怒っているし、待合室で座る場所にも変にこだわるし。まあ、健康診断というのは、モトミにとって緊張する場所ではあると思います。毎年来ているから、何をするのかだいたい分かっていて想像できちゃうんでしょうね。大嫌いな採血があるのも分かっている。
 だからまあ、プンプンしているのも分かるなと思っていたのですが、途中で、ふと思い至って、私がしていたマスクを外して私の表情を見せてみました。
 そうしたら、途端に「あちいね」「きたない?」「あのね?」と、いつものモトミに戻ったのです。
 ああ、表情が見えないというのは不安なんだな、と改めて思いました。
 コミュニケーションって、言葉だけじゃないですよね。
 ちなみに今回、モトミは大嫌いな採血を頑張りました。いつもだと、そもそも腕を出し続けるのが難しく、針を刺す前に引っ込めてしまって「やだー!!!!!!」と大暴れになってしまったりすることもあるのですが。
 今回は、素直に刺された。
 しかし、今回なぜか血管が見えず、結局3回も針を刺し直すことに!しかも刺して採血始まったかなと思ったら、看護師さん「あれ、はずれちゃった、どこだ…」と、皮膚の下で針をグリグリして血管を探すという…。
「いっっっったああああああい!!!!!」
「たーすけてえええええ!!!!!」
というモトミの叫びに、今回ばかりは共感しました。

かずみ


次に、すずが「専従のページ」に書いたモノ。

 皆さんいかがお過ごしでしょう。コロナで家に籠ることが多くなりました。人と話さなくなるし、そうなると余計なことが浮かび、考えることは大抵悪い方に行きますよね。無気力になり、思考力が低下。最終的に外に出たくなくなるので、長く引きこもっても大体良い事ないですよ。元引きこもり、経験者は語る。
 さて、自粛を解除する方向に進み始めた6月当初、初めて内輪で呑んだとき、みんなと馬鹿なことをして笑える事がとても沁みました。本当に、ひとまずだけれど、乗り超えられて良かったって。
 にじ屋やネットは、みんなが1人暮らしをするために給料を稼いだり、仲間と過すための居場所でもあるけれど、私の居場所でもあります。脱引きこもりをしてから2年ほど経ちましたが、年々その感覚というのは強くなっています。
 本気で何かに打ち込めたり、その事で悩んだり、時には意見を言い合う。そういう事が本当に嬉しく思いました。内にも外にも、みんなと馬鹿をやることの格好良さ、みたいなのをを分かっている仲間がいるから、成り立っていることだと思っいます。
 私はもうあの鬱々とした、死ぬほどつらかった生活には戻りたくないし、みんなだって、実家や施設に戻りたくない。
 だからこそ、もっと仲間を増やして、一緒にくだらない話が出来たり、遊びに行ける人・誘えを人を増やしていきたい。この「輪」が、もっともっと広がってくれたらいい、と思っています。

すず


最後に、外口さんのPCR検査のことについて。

 微熱が続いていたコバの通院と、健康診断のレントゲンで影があると言われたオグラの通院に一緒に行った。
 近くの同じ病院で診てもらったのだけれど、このコロナでの医療現場の大変さ、緊張感が伝わってきた。

 コバの通院のために病院のホームページを確認したところ、熱がある人は前もって連絡するように書かれていた。
 病院に電話をして微熱とそれ以外の症状はないことを伝えたところ、発熱している人は今まで通りの内科ではなく、予約の発熱外来という形で診ているとのこと。
 予約した時間に病院に行くと、入り口で体温チェックと「発熱外来」と伝えると、コバはすぐ横の隔離された場所に入っていった。
 そして、20分くらいしてから発熱外来の診察室に案内された。医者と看護士はフェイスシールドにマスク、手袋、ビニールで代用したエプロンを着けていて、まさにコロナ禍だった。
 あらためて微熱が1週間続いていることを伝えたところ、原因を調べるための血液検査とレントゲンと、「今はコロナということもあるので、念のため検査をしますか」とあっさり聞かれた。
 「検査ができるならお願いします。」えっ、まさかこんな簡単に…と思ったけれど、PCR検査ができるならやってもらった方がいい!

 まずはこの診察室で採血をして、その後、隣の処置室的な部屋に移動した。ここは、ストレッチャーをカーテンで仕切って待機場所を兼ねていた。
 しばらくしてレントゲンを撮りに。いつもなら持って移動するカルテのファイルも渡されず、放射線科の前で待っている技師が見えた。
 レントゲンを撮ったら発熱外来の処置室に戻ってきて待機。そしてPCR検査で鼻から検体を採取した。
 医者の指示でコバはストレッチャーに仰向けになった。「えっ、なんで?」と思ったけれど、その後、コバの頭から肩までビニールシートで覆われた。
 飛沫感染を防ぐためにこのビニールシートもパイプで枠を作って自作したようで、横のビニールの切れ目から手を入れて検体を採取していた。
 フェイスシールドとマスクと手袋とビニールのエプロン、そしてコバを覆っているビニールシート。そこには、緊張感しかない。

 オグラの通院の時も、健診での肺炎の疑いで、念のためということも合わせてPCR検査を受けることができた。(レントゲンの肺の影の方は、炎症反応がないので以前の肺炎の跡ではないかと。まずは一安心なのだけれど、オグラ自身が肺炎になった記憶がないという…)
 オグラは唾液でのPCR検査になっていたのだけれど、コバの時もオグラの時も、こんな緊張感の中にいながら、医者と看護士の話し方や動きは穏やかだった。
 それは、自分たちに安心感をくれた。


そのほか、字が追いつかない市丸が自分の家の草取りについて絵で描いたとか、まあいろいろ載ってますので、ぜひ入手してほしいところであります。
現在、デジタルにはなってないので、具体的に入手していただくほかございません。






書店員

車募集


(BGM:Linda Ronstadt「Be My Baby」from「Dedicated To The One I Love」)
→小学校の頃、隣のお兄ちゃんとかがよく聞いてた。
これは子守歌シリーズ、みたいなことなのかしら。
ロネッツのカバーと言うことになるのか、元もいいけど、こういうアレンジにしてきたのはいいと思う。
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そうだったのか (創作)


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(創作です念為)


女房が死んだ。
葬式が終わって、亡骸はこんなに小さな骨壺に収まってしまった。

彼女とは仕事場で知り合って、1年くらい付き合って結婚した。
子どもはもう成人して、家を出ている。
数年前から彼女はパートに出ていて、遅れた共稼ぎ夫婦になった。

子どもがいないということで、パートの交代や夜遅くの時もあって、すれ違いは多くなったが、私は台所に入らないタイプじゃないし、そんなに不便はなかった。

そんな折、パート先からの帰り道、自転車の彼女は大型のダンプに巻き込まれた。
病院に担ぎ込まれたときにはもう死んでいた。

大型ダンプの運転手はそれはもうこっちが恐縮するほど小さくなって、何度も何度も床に額を擦り付けた。
最初のウチは腹も立ったが、毎日そんなことをされているウチに、許してやろうという気にもなった。

私は仕事を辞めた。
もう働く必要もない気がした。
この家のローンも払い終わっている。
どのみち、あと5年で定年だ。
早期退職者を募っている会社の方針もあり、私は手を上げた。

近くの墓所に墓を買おうと思っているのだが、まだ動き出せていない。
大きな穴が自分の中にできてしまったようで、何をするにももうちょっと時間が必要な気がする。
彼女が骨壺に収まって半年が経つ。
早く決めてやらねば、と思いながら、毎日骨壺の前に座っている。

思えば、専業主婦にしてしまったことも彼女にとってどうだったんだろう。
仕事を続けたかったのじゃないだろうか。
息子が出て行って、パートを始めたのも、続けたかったからじゃないだろうか。

いつだって、疲れて帰ってきても、彼女はいつも笑顔で食事を用意して待っていてくれた。
子どもPTA、近所の自治会のことも積極的に参加してくれていた。
よくできた女房だったと思う。

けれど、彼女にとって、オレはいい夫だったのだろうか。

子どもが大学に行って時間ができると、よく夫婦で旅行にも行ったっけ。
あれはどこだったか、見晴らしのいい海岸を望む高台で年甲斐もなくキスをしたっけ。

よかった想い出だけが次々に蘇ってくる。
そして、彼女の骨壺に語り続ける。
「オレはいい夫だったか?」と。

そして、ふと思い出したんだ。
パートに出るようになって半年くらいしてからだったか。
彼女が遅くなる日が続くようになったことがあった。
思えば、家にいるときもいつも携帯をいじっていた気がする。

そうだ、彼女の携帯…。
警察から戻ってきたけれど、そのまま手つかずだった遺品の中にあったはずだ。

彼女の携帯には、一緒に行った観光地のストラップがついていた記憶があるが、事故の衝撃かなくなっていた。
充電コードを差し込んで携帯を起動する。

写真を開けてみたら、そこには知らない男が写っていた。
食事に行ったと思われるシーン、自撮りをしたのだろうか、彼女の顔はアップだ。
数枚先には、どうみても男と一緒にはだけた肩を出して布団に入っている彼女がいた。

どういうことだ…。
言葉もない。
年甲斐もなく、彼女は不倫をしていたのか…。

メールを開けてみたら、濃厚な恋人のような会話が綴られている。
「あなたと今会いたい」
「離婚してあなたと再婚したいわ」
「若いときにあなたと出会いたかった」

最後のメールには「さっきはありがとう、楽しかったね」という文字とともにハートが踊っていた。
それは、警察に知らされた事故発生時刻の数分前だった。

そうか。
そうか…。

不思議と私は冷静だった。
怒りがわいてくることもない。
心には凪。
感情がどこにも吹いていかない。

その相手は彼女のパート先の同年代の男だった。
そういえば、私も一度くらい会った気がする。

そうか。
そうだったのか。

翌朝、私は、女房がパートをしていた小さな設計事務所をたずねた。
数人の社員と、その男がいた。
ざわめく事務所内。
私が亡くなった女房の旦那だと言うことは、葬式にみんな来てくれたから知っている。

「どうしたんですか?」という声をよそに、私は、無言で骨壺を抱いたまま、彼と相対した。

「女房はあなたと一緒になりたかったそうです」
「ぜひ、最後は、一緒になってやってください」
「ここに彼女、置いていきます」

事務所は静まりかえった。
彼のデスクに骨壺を置いて、私は背を向けた。

ごめんな。
いい夫じゃなくて。

でもこれで、おまえの最後の願いは叶えてやれたか。
最後くらいは、おまえの望みを叶えたい。

帰り道、真っ黒な闇の中に、自分はいた。
心には凪。
何の感情もなくなっていた。

これですべて終わった。
私のこれからの人生は、彼女と生きてきた30年分の自分の後悔を、真っ黒な闇に放り込むことに費やそうと思う。








書店員

車募集


(BGM:Jennifer Lopez「I'm Real」from「J.Lo」)
→YMOのファイヤクラッカーを大胆にもってきたなあ、これ。
マーティンデニーが原曲となるわけですが、これはYMOバージョンを持ってきてますな。

行きたい気持ち (創作)


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(創作です念為)

彼女は、空港で降りて、タクシーに乗ったという。
以下はその時の彼女の話である。

出張先の支店は電車が通ってる場所じゃなく、山の中にある。
簡単な確認作業なので、おそらくはすぐに仕事は済むだろうが、行きようがない。
レンタカーという選択肢もなくはなかったが、慣れない山道の運転は避けたかった。

タクシーに乗り込み、行き先を告げると、「わかりました~」と女性の運転手さん。
運転手さんが女性であったことになにやら居心地の良さを感じ、安心して確認作業のための書類に目を通すことにした。

ふと視線を感じて、バックミラーを見ると、運転手さんが何度も私のことを見ている。
あら?お化粧落ちちゃったかしら、とか思っていると、急に運転手さんが涙声で私に声をかけた。

「ごめんなさいね!あのとき!」

え?

「あのとき、あなたを脅かすだけのはずだったの!。ごめんなさい!」と、もうその運転手は泣き声である。

違うのよ、私は、命令されただけなの!
あそこに呼び出せって言われたから、あなたに電話しただけなの。
あんなことになるなんて、私、思わなかったから…。

私はまったく心当たりがない。
というか、この運転手さんのこと知らない…。
「違いますよ。人違いです」と私は言ったが、その声が聞こえているのか聞こえていないのか、彼女はごめんなさいを繰り返す。

私はそれよりも山道の運転の方が気になってしまい、「とにかく落ち着いてください、人違いですから」と言うも、彼女は本当に私におびえているように見えた。

そもそもこの地に来たのは始めてだ。
彼女の話を総合すると、どうも高校時代くらいの時の話をしているようだ。
とはいえ、彼女は私よりもどう見ても年上に見えるし、ネームプレートの「根岸」という名前にもまったく心当たりがない。

「違いますよ。私、ここに来たのは初めてだから」というんだけど、彼女は「そうじゃない、そうじゃないじゃない。ほら、あのときに…」と私の人違いについてはまったく意に介さない感じである。

そうか、よく考えたら、この場所での話じゃないかもしれない。
この人だって、ここで高校時代を過ごしていると決まったわけじゃない。

けど、言ってることがまったく不明だ。
しかも、なんか彼女は核心を言わない。

一転して居心地が悪い空間となったタクシーだが、目的地には着いて、「ごめんなさい、もうお金はいいから」と運転手さんは言って私を降ろそうとする。
違う違う、私、その人じゃないから。
と料金を払おうとするのに、彼女はそれを受け取らない。
このまま押し問答してもしょうがないと思った私は、まあ、いいかと思ってタクシーを降りた。

なんだろう。
なにを言ってるんだろう。
誰と勘違いしているんだろう、って、なんか解せない思いはあったけれど、でもまあ、彼女ともう出会うこともあるまい、気を取り直して仕事を済ませちゃおう、と私は思った。

仕事は滞りなく終わった。
この後、近くの駅まで出て、主要都市にあるお城を見て帰ろうと思っていた。
近くの駅まで送りますよ、という支社長の言葉に甘えることにした。

支社の玄関で待っていると、私より若そうな男性が仕事のついでがあるので送ってくれるという。
ちょっと進んだところで、急に彼は私に言った。
「おまえ、根岸だな」
「なんで戻ってきた」
「あの後、みんなで大変だったんだぞ!」

え?

いや、違います、私は根岸じゃないです。
この場所に来たのも初めてです、と繰り返すのだが、聞こえてるのか聞こえてないのか彼は私を責め続ける。

「あの場所におまえが着さえしなかったら、こんなことにならなかった」
「また戻ってきて、同じことをするつもりか!」

私はハンドルを彼に握られていることもあって、恐怖に駆られた。
この怒りようだと、私はどこかに連れて行かれてしまうのではないか、そうではなくても、山道の運転を誤ってしまうのではないか。

落ち着いてください、私は根岸じゃないんです。
人違いです。

彼はそれでも近くの駅で私を放り出すように降ろすと去って行った。

行きのタクシーのこともあり、私の頭の中はパニックになった。
根岸を巡る何かがあったんだろうか。
根岸って、行きのタクシーの運転手さんだよな…。
でも、彼女と私は似てない、と思う。
というか、年齢が違いすぎるし、そう考えると、支社から運転してくれた彼はもっと若い。

彼らは同じ事例について私に言っていたように思えるが、どうも高校時代くらいの話をしているようで、こんなに年齢が違って同じような話をするとはちょっと思えない。

なんなんだろう…。
私は、なんか早く帰った方がいいような気がしたが、一方で、根岸にまつわる何があったのか、どうしても気になってしまった。

駅前で呆然としていると、小さな子どもがやってきて、「はい、頼まれてたコーラ」といって私にペットボトルを渡してくる。
唖然としていると、向こうからおじさんがやってきて、「やあ、根岸さん、久しぶり!」と手を振りながらやってきた。

え?だから私、根岸じゃないって!

近づいてくるおじさんをつい突き飛ばしてしまった。
「なにするの、根岸さん」とおじさんは笑顔。
恐ろしくなった私は、とにかくこの場から離れようと走った。

整理しようと思っても、整理できない。
最初の根岸さんが彼らの言う根岸さんなのだろうか?
でも、私とは似ても似つかないし、年齢も明らかに違う。

というか、なに?なんなの?と思っていると、ブルブルブルと携帯が鳴る。
おばさんからだ。
開口一番、おばさんはこういった。
「あんたどこに行ってんの!」
「なにしてんの!」
「そんな山に行っちゃダメじゃない!」
おばさんにはここ2,3年会ってないし、今日のことも伝えてない。
うろたえていると、「すぐにウチに戻りなさい!」と続ける。

これは後になって聞いた話だけれど、おばさんはテレビを見ていたら急に画面が切り替わって見えて、私が山の中で多くの人に囲まれて崖から落とされる様子が写ったらしい。
その山がどうも禍々しく、何か悪い予感を感じさせ、すぐに電話をかけてくれたらしい。

おばさんの勢いに押され、「わかった」と言い、私は駅に戻り、でも誰とも目を合わせないよう、ターミナル駅を目指したのよ。


ここまで話し、彼女は一息ついて、こう言った。

根岸、って、その時にはもう亡くなってた母親の旧姓だったの。
でも、あの場所は実家とかでもないし、関係ないと思うんだけど。
けど、なにかつながりがあるんじゃないかと思うとね、どうしてももう一度行ってみたい気持ちが抑えられないのよね…。
でも、次に行ったら、なんかおばさんが見た映像が本当になっちゃうような気もして、怖いんだけど…。
けど、行きたい気持ちが抑えられないのよ…。

行かない方がいいよねえ…

と彼女は最後に小さな声で自分に言い聞かせるように言った。





車募集

書店員


(BGM:Sublime「Don't Push [Live]」from「Stand By Your Van [Live]」)
→ジャケットの見た感じはパンクなんだけど、スカからレゲまで、まあ「楽しい」音楽だな、これは。
ライブ盤で、まあライブの曲順通りに入ってるのかどうかは知らないけど、一曲目がこの「Don't Push」ってのがね、いいよね。
「押すなよ、危ねえぞ」みたいな。
見た目に違わず優しいと見た。

形見 (創作)


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「あの映画監督のところでちょっと働いていたことがあったんですよ」
え~、あの賞を取った監督?
「そうなんですよ、まだ有名じゃなかったけど、やっぱ小道具とかにはすごく気を遣う人でしたね」

「あの画家さんと知り合いなんですよ」
すごいね、有名な人じゃない。
「何回かアトリエにもお邪魔したことがあって…」

彼女は、わかりやすい嘘をいつもついていた。
その独特な風貌、ちょっと服も周りから浮く感じの「普通の人じゃない感」を醸し出していた彼女の話は、それでも最初はみんな興味津々に聞いていたが、それが毎日のように続く中で、だんだん「またかよ…」という雰囲気が支配するようになった。
それでも仕事は進んだし、話をへえへえ聞いていればいいじゃん、という感じが彼女をのまわりを支配し始めていた。
嘘だ、と突っ込むのは大人としてどうか、ってのもあって、決定的な出来事は起こらなかったが、今になって考えてみると、それが彼女を追い込んだのかもしれない。

だんだんみんなが驚かなくなるに従って、彼女の嘘もエスカレートしていくのはみんな感じていた。
このままでは、「マイケルジャクソンと友達」、といいかねないな、と誰もが思っていたけれど、まともに取り合うのもめんどくさい。

そんなある日、彼女は盛大に吐いた。
デスクにだ。
周りは驚いたし、彼女の体調を気遣った。
彼女をソファに横にならせ、吐瀉物を片付けた。
「ちょっと寝てれば大丈夫だと思います。すいません本当に」という彼女でしたが、その日は早く帰って寝た方がいいという皆のアドバイスを受けて、彼女はそのまま帰った。

どうしちゃったんだろう。
みんな不安になったけれど、まあ彼女の言うように明日にはけろっとしているのかもしれない。
突然のことに戸惑ったが、まあみな仕事を終え、その日は帰った。

翌日、彼女はちょっと遅れてやってきて、「どうも私妊娠したみたいです」と言った。

おめでとう、とみんなは言った。
昨日の出来事が吹っ飛ぶような話だったけれど、どうも「相手が誰なのか」を彼女は言わない。
そういえば、そういう「彼氏」的な話を彼女から聞いたことはなかったなあ、と思ったけれど、でもそこで「相手は誰なの?」というのはちょっと聞きにくい。
結婚は?というのもちょっと野暮な感じがして、それはみんなも同じだったようで、誰もそれには触れない、ただ「おめでとう」を彼女に送った。

その後、彼女は休みがちになった。
きっとお産がきついのかな、と話していたが、時たま顔を出すと、その顔が妙にこけているのに気づいた。
新しい命を生み出す力が出るんだろうか?
そんなにきついのかな、と思っていたけれど、ある日、連絡なしに休んだのが二日続いて、なんか家を見に行った方がいいんじゃないか、という話が出た頃、彼女の母親という人から連絡があった。

「彼女、死んじゃったって」
電話に出た女の子がそういった。

え?
どういうこと?
なに?

所長が改めて控えてあった実家に電話をかけると、彼女の母親は平謝りだったそうで、ご迷惑をかけて、と繰り返す。
状況が飲み込めない所長が、「おなかの子は…」と遠慮気味に聞くと、母親なる人物はこういった。

「またそんなウソを…あの子は…もうしわけありません…」

狐につままれたような顔をしている所長の話を聞いて、そうか、妊娠というのはウソだったのか、何か別の病気?だったのか…、と思ったが、所長も死因は聞けなかったという。

二三日は仕事も手につかない感じだったが、そのうち彼女なしの事務所で仕事を回すようになり、彼女の荷物を片付けよう、ということになった。
新たに人も募集しなければならない、そのためには整理もしなければならない。
まあ気は進まないが、母親もこっちで片付けてくれと言うし、仕事と割り切って手の空いた人で整理を進めることになった。

なんということはない。
デスクの上には書類、机の中にも筆記具やメモ、特に仕事上必要とするモノはなかったし、私物というのも、ペン類くらいで、整理ははかどった。

そんな整理の最中、ロッカールームから女性の社員が血相を変えて抱えてきたのが「こけし」だった。

一抱えもある。

彼女のロッカーに入っていたという。

え?
どうして?
なにこれ?

こんな大きなモノを持ち込んだら気がつきそうなもんだが、そういうそぶりはなかったし、どっかのお土産とかそういう感じでもない。
そのこけしは、作りはいいようだが、うす汚れていて、古いものであることがうかがわれた。

黙り込んだ事務所だったが、所長が、「明日燃えないゴミの日だから、出しちゃおう」と言い出した。

そうだよな、別にもう彼女の持ち物はゴミにしちゃってるわけだし…。
こんなに大きければ燃えるゴミというわけにも…。
かといって、寺に持って行くとか、祈祷してもらうとかはなんか逆に怖い…。

ただ、彼女はここに置いていただけだ。
だから、捨ててもいいんだ、という風に、

考えたかった。


結局、所長の意見に異議を唱える人もいず、こけしは会社の入り口のゴミ置き場に置かれた。
明日になれば、回収車が回収してくれるだろう…。


翌朝、会社に行くと、みんな真っ青な顔をしていた。
どうしたんですか?と聞くと、ゴミ置き場を見ろという。

こけしに、誰が貼ったのか、どこのものだからわからないお札が貼ってあった。

事務所の誰も貼った覚えはないという。





(BGM:ガガガSP「フラレ男の哀しい歌」from「声に出すと赤っ恥」)
→もうストレートなタイトルであることがガガガらしい。
これ、タイトルだけでけっこう「ケッ」って思うかもしれないけど、サビもタイトルまんまなんだけど、3分弱の曲の中で繰り返されるとちょっとグッときちゃうところもある。

ある男の話 (創作)


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(創作です念為)


今から考えると、あの日は朝からヘンだったんだよね。
朝起きて俺はお茶を飲むことにしてるんだけど、コップに手をかけたら、入れたはずのお茶が入ってない。
まあ、俺の勘違いかな、と思って、その時はそんなに気にしなかった、というか、気にしないようにしたんだ。
なんか怖かったから。
でもまあ、毎朝の習慣だからさ、「んなわけない」とは思ってはいたんだ。

ま、そのことはそんな感じで記憶の底に押し込めていたんだけどさ。
その夜だよ。
家にいたんだ。
そしたら携帯に電話があった。
見知らぬ番号だったから、一度はほっておいた。
けど、数分経ってもう一度かかってきてね。

もしかしたら、なんか携帯なくした親が他の人の携帯からかけてるとか、病院に運ばれたんじゃないかとか、そんな風に思ったわけ。
で、二回目は出た。

そしたら女の人でね。
間違い電話だったんだ。
でもなんか、いろいろと彼女が話し始めてさ。
看護婦をやっていて、色々ストレスがたまるとか、実家暮らしで親と折り合いがあまり良くない、とか。
ちょっと怪しいな、とは思ったよ。
なんかこのまま詐欺かなんかに引っかけようとしてるんじゃないか、とか。

でも、そういう「匂い」ってあるじゃない。
そういうのがなかったんだよ。
で、まあその日は特に何でもない話をして電話を切ったんだ。
ヘンなこともあるモンだ、って感じで。

で、まあそれはそれで終わればなんてことなかったんだけど。
翌朝、なんとなく携帯を見たら、その着信履歴がなくなってることに気づいた。
え?なんで?とは思ったよ。
でも、なんか寝ぼけて消しちゃったのかな、と思ってさ。
あんまり真剣には考えなかったんだ。
別にアレで終わりだと思っていたし。

そしたらさ、翌日も電話がかかってきて。
今度はもうちょっと遅い時間だった。
彼女は、「あ、また間違っちゃった!ごめんなさい!」って。
それもね、まあ俺の番号が何かの番号と勘違いで彼女の携帯に記憶されちゃったんだと思って、そんなに気にしなかった。

で、やっぱまた話をしたのよ。
そしたら、話の流れで、今度会おうか、ってなって。
俺も彼女がいたわけじゃないし、単純に話し相手くらいの気持ちでね。
彼女の家と俺のアパートとの真ん中くらいの駅で、数日後に会うことにしたんだ。

で、飲みに行ってさ。
彼女は、そうね、普通だったよ。
特にどうという感じもなかった。
歳は三十って言ってたけど、それよりは若く見えたかな。
派手でもなく、かといって地味でもない。

う~ん、なんていうか、一番「手が届きそう」な女性ではあった。

で、まあ二度目に会った時に、そういう仲になって。
その後も何となく一緒にいる感じになって。
ま、よかったっていうか、俺としてはラッキーっていうか、番号間違ってくれてよかったな、って思ってた。

まあ、そうなると、彼女が俺の家に来て泊まったり、そういうことにもなっていくじゃない。
俺はアパートに一人暮らしだし、彼女は実家住まいって聞いてたし、そういう流れになるわな。

でね、ある時気づいたんだよ。
彼女が部屋に来ると、減るんだ。
いや、金が、とかじゃない。
金目の物なんかそもそもないし。

飲み物が減るんだ。

例えば、ペットボトルのお茶だったり、スポドリだったり、そういうのが異常に減る。
いや、彼女が夜中に起きて、俺が知らないウチに呑んでるのかとも思ったけど、いや、でも2リットルほとんどあったのがカラになってるのはおかしいだろ。

いや、最初は勘違いかとも思ったさ。
俺の記憶違いかな、って。
彼女に聞いても、知らない、って言うし。

でも、そういうことが続くとさ、やっぱ気になるじゃない。
だから、注意深くお茶の残りの量とかを見るようになった。
そしたらさ、確実に減るんだ。
減ってる。
彼女が家に来ない日は減らない。
彼女が泊まると減るんだ。
たいがい残量ゼロになってる。

でも彼女に聞けば「勘違いじゃないの?」「知らないよ」って言われるだけだし。
それもウソをついてる感じじゃないんだ。
俺もまあお茶なんか気にしなきゃいいか、とは思ったんだけど、でもやっぱり気になるじゃない。

なんか気持ちが悪いっていうか。

でね、俺は最初に言ったけど、お茶を普段から飲むようにしてるから、とあるメーカーのお茶の2リットルペットボトルを、まあ切らさないように、コンビニで買ってたんだけど。
彼女が泊まる日に、それを残量ゼロにしてみようと思って。
ちょうどゼロになった時に、その日はお茶を買わずに彼女に泊まりに来いよって言ったの。

ま、彼女は来たし、コンビニで買ったお総菜とかでちょっとビール飲んだりして。
いつものように映画のDVDなんか見て、寝たわけ。

で、朝起きたら、そりゃそうだ、お茶は元々なかったんだから減るも何もない。
彼女もいつも通り起きてさ、その日は寝坊しちゃったから、朝も食べずに慌てて二人で一緒に家を出た。
その時は普通だったんだけどね。

その日からだよ。
彼女と連絡取れなくなってさ。
よく考えてみたら、看護婦だって聞いてたけど、降りる駅しか聞いてなかった。
その駅のまわりにはそもそも病院がない。
まあ、そこから通ってる、ってことだったら駅から離れてるトコだったのかもしれないけど、小さな医院とかをさがすわけにもいかないし。
家も降りる駅しか聞いてなかった。
まあ、なんかの都合で来れないのか、急に病気にでもなっちゃったのか、事故にでもあったか、とか色々考えたけど。
でもまあ、もう連絡を待つしかなくて。

けども、もう1ヶ月経つけど、彼女からの連絡はないままで。
もうなんだか煙に巻かれた気持ちになってさ。

そしたらなんか転勤の辞令が出てさ。
地方都市に行かなきゃならなくなって、家も引き払うことになった。
まあ、そうなれば、彼女がウチにたずねてきてもわからないな、と思ったけど、その頃になると冷静になってさ。
やっぱおかしいじゃない。
お茶が減る、って。
だから、これを機にまあ彼女のこと忘れようって思ったんだわ。

でさ、引っ越しの荷物をまとめてたらね、台所のサラダ油がさ。
残量ゼロになってたの。

いや、俺は自炊なんかしないからさ。
というか、台所が狭くて、カセットコンロくらいのコンロが申し訳程度についてるだけだしさ。
オフクロにはフライパンくらい買いなさいって言われてたけど、まあ買う機会もなくここまで来ちゃってたんだ。
ま、最初にオフクロが送ってくれた、醤油とかカップ麺とかレトルト食品とかと一緒に荷物に入ってたサラダ油でね。
置いておいただけ、っていうか、まあ自分で使ったって記憶がない。
台所の肥やしになってたサラダ油なんだよ。

でね、よく見てみると、フタがあいてないんだ。
フタを空けないで蒸発するなんてコトもないだろ?
それが空っぽなんだから。
なんだか、怖くなっちゃって。

いや、彼女との最後の夜に減ってたかどうかはわからないよ、今となっては。
サラダ油なんて気にしたこともなかったから。

でもね、なんか、あの夜に残量ゼロになったんじゃないかって思えてならないんだわ。






(BGM:cargo「Can't Take My Eyes Off You」from「Francfranc's BEST Beautiful Covers Fly High Megamix」)
→洋楽の超名曲をカバーしてつなげました、という1枚。
ま、どうなんでしょうかね。
基本「ダンスマニア」的な作りでありまして、あまり心に響くことはないんですけど、なんかアタマ空っぽな人たちが「うぇ~」とか言いながら集まる場所にかかってそう。

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