【スーパー猛毒ちんどん動画】スーパー猛毒チャンネル ★
YOUTUBE知的生涯PV ★
知的生涯ライブ動画他
【リンク】スーパー猛毒ちんどんフェイスブック ★
虹の会本部HP虹魂的障害者自立生活 ★
虹の会本体ブログミツのホッサ日記PLUS ★
ツイキャス!!
虹の会では、専従職員を募集しています。社保完。詳しくはこちら

ジョーカー。
もう映画界はこの作品の話でもちきりだったし、ネットにあふれる見た人の感想も「見るべきだ」と俺に言っていた。
が、なんだかいろいろうまく予定が合わず見に行けてなかったのよね。
埼玉、このあたりのあちこちのシネコンでもどんどん上映が終了していく。
ああ、見れないのか…。
あとで工藤さんちで見るしかないか…、と思っていたら、なんと正月明けた数日目、最後の最後のシネコンでの上映に滑り込みセーフ。
その日の最後の上映。
もうほんとに最後の最後、予定が詰まってはいたのだが、無理くりいってきた。
いや、よかったよ。
見に行けてよかった。
R15作品。
といって、残虐シーンが続くというわけでもない。
一か所だけ、昔の仲間をぶち殺してしまうシーンくらいか。
それもまあ、今日日ことさらグロいという感じではない。
けども、まあ全編を通してですね、これはまあ子どもに見せない方がいいわ。
恐ろしい映画だよこれ。
俺も映画館を出たときにちょっと踊ろうかと思っちゃったくらい。
よく、やくざ映画を見るとみんなヤクザになって映画館を出るというけど、それと同じ。
ジョーカー見たら、たいがいの人はジョーカーで出ちゃうね。
抑圧されて、抑圧されて、その根本に親からの虐待があったみたいなんだけど、それもある意味金持ちの陰謀みたいなものがからんでいたりして。
同時に、ゴッサムシティでは格差がすごいことになってて、暴動まで起きてしまうくらいの。
結局、ジョーカーは静かに爆発してしまう。
そして、暴動のヒーローに祭り上げられる。
バッドマンにおけるジョーカーの誕生である。
同時に、バッドマンの誕生もちょこっと出てくる感じ。
この映画、とにかくずっと一人称。
普通、もっと他の出演者の背景なんかも描かれるだろうに、そういうの一切なし。
淡々とジョーカーだけを追っていくカメラ。
そして、ジョーカーも感情を大きく爆発させることなく、静かに狂っていく。
その過程は、あまりに過酷で悲しい。
最後はついにちょっとだけ人間とつながっていた皮一枚もはがれてしまい、悪の総統になっていく。
そこは、罪悪感も良心も、愛も、なにもない世界。
彼は、もう罪悪感を感じることもないし、良心に期待して裏切られることもないし、愛を求める必要もなくなった。
ついに、その域に達してしまった彼は、もうジョーカーになるしかなかったのである。
見てる側は、その一人称の描き方の中で、大いにジョーカーに感情移入してしまう。
愛する人がそこにいたはずだったけど、本当はいなかった。
彼の妄想だった。
そんな現実の連続の中で、彼は「急に脈絡なく笑ってしまう」という病気もあったんだけど、どんどん追い詰められていくのである。
追い詰められる、といっても、現実の中に身を置いていれば、の話である。
その現実の中で、追い詰められ追い詰められ、ついに「存在しない自分」になってしまった時、彼はもうすべてから解放されてしまった。
現実を捨てたのだ。
いや、捨てたのではなく、現実に捨てられたのだ。
それは、バッドマンという架空の物語のスタートになる。
そう、彼は架空の物語の中に生まれかわったのである。
これ、俺が30年前に見ていたら、号泣だったな。
いや、もう何度も見たくなっただろう。
あの時は、生活も苦しかったし、周りがみんな敵に見えた。
自分に自信もなかったし、どうしたらいいかもわからなかった。
あんな時にこの映画を見ていたら、もうはまってしまったに違いない。
翌日からきっとピエロマスクをかぶったに違いない。
ま、今見たから大丈夫だったけど、いや、そのくらい、気持ちがやられてしまう映画だった。
弱ってる時に見たらやばいんじゃないか。
というか、何度も見たくなっても、最後の最後の一回を見たんでもう見れませんけど。
いや、俺のように最後の最後のチャンスを逃さないようにと見に来た人もいたろうけど、けっこう思ったより人が入っていたので、もしかしたら「二回目、三回目」という人もいたかもしれない。
人は、妄想をしてしまう時がある。
まあ、妄想はいつでもあるが、それが見えてしまうようになったら終わり、という感じがある。
30年前、やっぱりどうしようもなかった時、当時会いたかった彼女の姿を見たことがある。
決しているはずもない場所で。
普通に立っていた。
けど、その時は、「これは妄想だ」とわかっていたからまだ大丈夫だったんだろうな。
あれを追ってしまっていたら、もしかしたら俺も架空の世界の物語を始めなければならなかったかもしれない。
あの時に、架空の物語に背中を押すようなこの映画がなくてよかったよ。
ま、見た人がほとんどかと思うけど、見てない人がいたらぜひまあ、もうレンタルでいいと思うので見てほしいなあ。
いや、誰もが一度はこんな気持ちにはなったはずで、その時の気持ちをきっと誰も思い出すと思う。
そして、架空の物語に入り込まなくてよかったと胸をなでおろしてほしい。
俺たちとジョーカーは、きっと同じ体験はどこかでしている。
それでも、道を踏み外さなかった自分を褒めよう。
そのラッキーを喜ぼう。
ジョーカーは鏡だ。





(BGM:砂塚秀夫「毘沙門天慕情」from「銭ゲバ大行進」)
→このアルバムはなかなかに素晴らしいわけだけれど、まあ何曲かこれまでも紹介したかと思うけど。
これは、タイトルの映画の関係の曲なのかしら。
冒頭の寅さんを引っぱってきての語りがいい。
スポンサーサイト