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スーパーちんどん・さとう

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(事実に基づく創作念為)


彼とは同じ高校だった。
でも、高校時代はクラスは同じ事もあったが、話したことはない。
ただ、家が近所だった。
二ブロック先のアパートに、彼は母親と二人で住んでいた。
それは、学校経由ではなく、親経由で、近所情報としては知っていた。

彼は、とにかく自分の知識をひけらかす男だった。
で、その知識が的を得てればいいが、時に、まったくデタラメを言ってることも多かったようだった。
それを指摘されると、彼は烈火のごとく怒り始め、「それは場面が違ったからだ」とか「その解釈は昔のものだ」とか、これまた的を得ない弁解を始める。
だから、彼と話したい、というクラスメイトはいなかった。

かといって、いじめられてる、というわけでもなく。
そういうの、あまりなかったんです、ウチの高校。
それにまあ、もう「彼にはふれたくなかった」という感じがクラスを支配してた。

高校は、そこそこ勉強のできる学校だった。
卒業して、俺を含め多くの同窓生は大学に進んだが、彼は就職した、という話は卒業前になんとなく耳に入っていた。
けっこう大きな映像の会社だったらしく、それはそれでよかったな、とは思っていたんだけど。

でも、彼はそこを一日で行くのを辞めてしまったらしい。
これは大学に入った頃か、親から聞いた。
近所では噂になっているらしい。

聞けば、新人の仕事はまず掃除、お茶を入れる、伝票の整理、という、まあ普通の話なんだけど、彼はそれを受け入れられなかったらしい。
「俺にそんなことをやらせるなんて!」と、家に帰って大騒ぎし、次の日から行かなくなったらしい。

「辞める」という連絡すら自分で入れることなく、親が連絡したというから、会社側ももちろん誰も慰留することもなく、すんなりと彼は失職した。
というか、一日だけだから、失職もなにも、まだ働いてもいないんだけど。

ま、でも、僕はその話をふ~ん、と聞いただけで、まあ忘れてた。

そして、大学の4年間を終え、地元の生協に事務員として就職した。
そこで高校の同期に出会い、彼の話を久しぶりに聞くことになった。

どうも、その日から、なにもせずに家にいるらしい。
といって、引きこもってるわけでもなく、買い物には来るし、フラフラと近所を歩いているらしい。
ただ、高校の同級生に会ってもなにも言わないし、いつも同じジャージをはいている、と。
生協の事務棟に併設されてるスーパーのパートのおばさんたちからは「緑ジャージ」と呼ばれて、不審がられてるという。

「一体なにしてるんだろうね?」
「若いんでしょうに、働いてないのかしら」

その時も、僕は「ふ~ん」と聞いてた。
彼とは話したこともないし、ただクラスが同じ事があった、ということだけだから。
社会人一年生の僕は、まあ覚えることもたくさんあったし、そんなことも忘れていた。

そんなある日、仕事を終えて家に帰る途中、彼に出会った。
確かに緑ジャージだ。
そして、なにやらうつむいて、どこにも行く当てがないのは見てわかる。

僕は、なんとなく不憫になり、彼に声をかけた。
「よお」
顔を上げた彼のメガネはレンズ面が薄汚れていた。

「覚えてない?高校の時、同じクラスだったんだけど…」というと、彼は「ああ」と、深海から浮き上がってきた魚のような顔をした。

「なにしてるの?」
「いや、特になにもしてないんだけどさ。今から帰ろうかと思って」
「そうか。元気してる?」
「まあね、毎日なんか忙しくってさ」

僕は、なにに忙しいんだよ?と思いながら、それでも「何の仕事してるの?」とは聞けなかった。
だって、おそらく、彼はウソをつくだろう。
そうなると、かえってめんどうだ。
踏み込まないことがこの会話をそこそこに切り上げる策だ、という自分の防衛本能に従った。

その日は、それでなんとなく別れた。
まあ、でもちゃんと会話も成り立っていたし、不審者がるのもちょっとかわいそうだな、と家に帰って思った。

その評価がちょっと変わったのが、翌日だ。
彼は、同じ場所に、同じ時間にいたのだ。
なにをするでもない、しかし、僕に会うのを待っている、というのは、その様子からビンビンに伝わってくる。

僕の彼に対する防御メーターは最大級に跳ね上がった。
これ以上、彼に関わるとロクなことがない、と僕の無意識が僕に言っている。
しかし、ここで無碍にするのもかわいそうじゃないか?
彼はずっと話す人もいなかったんだ、と頭の表層が言ってもいる。

この日は、彼から話かけてきた。
「あのさ、フェイスブックってやってる?」

俺はどう彼に対応しようか脳内会議が行われていた最中に、いきなり現実的な語句が出てきて混乱したが、とっさに「やってない」と答えた。
本当はやっているが、ここはこれ以上話をつなげたくなかった。

「そうなんだ」
彼は続けた。
「俺、今さ、困っちゃって。なんか、俺のデマが流れててさ」

フェイスブックで?
炎上ってヤツ?なんなんだ?
いや、久しぶりに会ったクラスメイトにする話じゃないだろう、と危険度メーターはどんどん上がっていく。

「え?」と、俺は声に出した。
「いや、なんかさ、俺のデマを流してるやつがいてさ」

いやいやいや、今の彼の状況を考えると、彼のデマを流すメリットなどなにもない。
彼の発信力などおそらくたかがしれてるし、そもそも日常生活が破綻しているのに、デマを流したところで、彼の生活などなにも変わるまい。

「そりゃたいへんだね」
僕は詳しくは聞かずお茶を濁した。
そうしたら、彼は急に吐き捨てるような強い語気で言った。

「いや、わかってんだよ。俺のデマを流してるヤツ。きっとシナかチョンのヤツらなんだ」

急に吐き気がするような民族差別語をまくし立ててきた彼に、俺は面食らってしまった。
「こいつ、いかれてるわ…」
俺の危険度メーターは振り切れるどころか、嫌悪メーターが跳ね上がる。

誰にともなくまくし立ててる彼に、「俺、急いでるから」と、さっさと僕はその場を立ち去った。

家に帰って、件のフェイスブックを見た。
それは、まったく虚飾に満ちたものだった。
といって、完璧に作り上げられた虚飾ではなく、穴だらけの虚飾だ。

「んなわけないじゃん」という記事の嵐。
なぜお前が映画監督と飲むんだよ…。
だったら、写真の一枚でものせろって…。

もちろん、誰も反応していなかった。
僕もそんなに一生懸命フェイスブックをやってるわけじゃないけど、それでも付き合い程度には「いいね」がつく。
それなのに、彼のページには、見事に誰も反応してなかった。
それはそれですごいな、とは思ったが。

いや、そうじゃなくて、このフェイスブックページの、どこが「デマを流されてる」んだろうか…。

もういい。
明日から帰宅ルートも変えよう。

うんざりだ。

頭の中から彼のことを追い出したいと思うのだが、ベットに入っても彼のことが頭からしがみついて離れない。
まあ、よくよく考えれば、彼は現実社会で誰とも接点がないのだ。
その状況を変えるためには、本当は彼自身が変わらなきゃいけない。

けど、彼にはそれができない。
ちょっとした間違いを指摘されただけで癇癪をおこすような男だ。
それは、高校を卒業して5年たった今でも変わってない。

だから、自分の状況は誰かにディスられてるからだ、と仮想敵を作るしかなかったんだろう。
インターネットサイトに数多くある差別サイトに触発されて、彼は「俺はヤツらに妨害されている」と思い込んでしまったのだろう。

馬鹿馬鹿しいにもほどがある。
仮想敵にされた方だってたまったもんじゃない。
哀れだが、俺はもう彼には関わることはないだろう。

いつの間にか、俺は眠っていた。


それから5年。
彼とは出会ってない。

しかしパートのおばちゃんたちから緑ジャージの噂は時折聞こえてくる。
どうも最近は、ブツブツと念仏を唱えるように繰り言を繰り返しながらフラフラしているらしい。
時折大声を出し、彼女たち、近所の人たちの「警戒度メーター」は、マックスに跳ね上がってるのが、彼女たちの口ぶりからわかる。

でも、もう彼と関わるのはごめんだ。
パートのおばちゃんたちの「きっといつか事件を起こして捕まっちゃうわよ」という彼の未来を、僕も望んでいる。










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げすいい


(BGM:RYUZO「HATE MY LIFE」fromYOUTUBE)
→「大学出てたら違ってたかな」
ドカチンで働いても給料は薄っぺら。
シングルマザーは夜の街で働くしかなかったり。
「お前次第で!」っていうけど、いや、甘んじちゃいかんとも思ったりはするが、応援歌としてはありなんだろうけど。
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