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スーパーちんどん・さとう

Author:スーパーちんどん・さとう
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行きたい気持ち (創作)


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kaijosha.jpg



(創作です念為)

彼女は、空港で降りて、タクシーに乗ったという。
以下はその時の彼女の話である。

出張先の支店は電車が通ってる場所じゃなく、山の中にある。
簡単な確認作業なので、おそらくはすぐに仕事は済むだろうが、行きようがない。
レンタカーという選択肢もなくはなかったが、慣れない山道の運転は避けたかった。

タクシーに乗り込み、行き先を告げると、「わかりました~」と女性の運転手さん。
運転手さんが女性であったことになにやら居心地の良さを感じ、安心して確認作業のための書類に目を通すことにした。

ふと視線を感じて、バックミラーを見ると、運転手さんが何度も私のことを見ている。
あら?お化粧落ちちゃったかしら、とか思っていると、急に運転手さんが涙声で私に声をかけた。

「ごめんなさいね!あのとき!」

え?

「あのとき、あなたを脅かすだけのはずだったの!。ごめんなさい!」と、もうその運転手は泣き声である。

違うのよ、私は、命令されただけなの!
あそこに呼び出せって言われたから、あなたに電話しただけなの。
あんなことになるなんて、私、思わなかったから…。

私はまったく心当たりがない。
というか、この運転手さんのこと知らない…。
「違いますよ。人違いです」と私は言ったが、その声が聞こえているのか聞こえていないのか、彼女はごめんなさいを繰り返す。

私はそれよりも山道の運転の方が気になってしまい、「とにかく落ち着いてください、人違いですから」と言うも、彼女は本当に私におびえているように見えた。

そもそもこの地に来たのは始めてだ。
彼女の話を総合すると、どうも高校時代くらいの時の話をしているようだ。
とはいえ、彼女は私よりもどう見ても年上に見えるし、ネームプレートの「根岸」という名前にもまったく心当たりがない。

「違いますよ。私、ここに来たのは初めてだから」というんだけど、彼女は「そうじゃない、そうじゃないじゃない。ほら、あのときに…」と私の人違いについてはまったく意に介さない感じである。

そうか、よく考えたら、この場所での話じゃないかもしれない。
この人だって、ここで高校時代を過ごしていると決まったわけじゃない。

けど、言ってることがまったく不明だ。
しかも、なんか彼女は核心を言わない。

一転して居心地が悪い空間となったタクシーだが、目的地には着いて、「ごめんなさい、もうお金はいいから」と運転手さんは言って私を降ろそうとする。
違う違う、私、その人じゃないから。
と料金を払おうとするのに、彼女はそれを受け取らない。
このまま押し問答してもしょうがないと思った私は、まあ、いいかと思ってタクシーを降りた。

なんだろう。
なにを言ってるんだろう。
誰と勘違いしているんだろう、って、なんか解せない思いはあったけれど、でもまあ、彼女ともう出会うこともあるまい、気を取り直して仕事を済ませちゃおう、と私は思った。

仕事は滞りなく終わった。
この後、近くの駅まで出て、主要都市にあるお城を見て帰ろうと思っていた。
近くの駅まで送りますよ、という支社長の言葉に甘えることにした。

支社の玄関で待っていると、私より若そうな男性が仕事のついでがあるので送ってくれるという。
ちょっと進んだところで、急に彼は私に言った。
「おまえ、根岸だな」
「なんで戻ってきた」
「あの後、みんなで大変だったんだぞ!」

え?

いや、違います、私は根岸じゃないです。
この場所に来たのも初めてです、と繰り返すのだが、聞こえてるのか聞こえてないのか彼は私を責め続ける。

「あの場所におまえが着さえしなかったら、こんなことにならなかった」
「また戻ってきて、同じことをするつもりか!」

私はハンドルを彼に握られていることもあって、恐怖に駆られた。
この怒りようだと、私はどこかに連れて行かれてしまうのではないか、そうではなくても、山道の運転を誤ってしまうのではないか。

落ち着いてください、私は根岸じゃないんです。
人違いです。

彼はそれでも近くの駅で私を放り出すように降ろすと去って行った。

行きのタクシーのこともあり、私の頭の中はパニックになった。
根岸を巡る何かがあったんだろうか。
根岸って、行きのタクシーの運転手さんだよな…。
でも、彼女と私は似てない、と思う。
というか、年齢が違いすぎるし、そう考えると、支社から運転してくれた彼はもっと若い。

彼らは同じ事例について私に言っていたように思えるが、どうも高校時代くらいの話をしているようで、こんなに年齢が違って同じような話をするとはちょっと思えない。

なんなんだろう…。
私は、なんか早く帰った方がいいような気がしたが、一方で、根岸にまつわる何があったのか、どうしても気になってしまった。

駅前で呆然としていると、小さな子どもがやってきて、「はい、頼まれてたコーラ」といって私にペットボトルを渡してくる。
唖然としていると、向こうからおじさんがやってきて、「やあ、根岸さん、久しぶり!」と手を振りながらやってきた。

え?だから私、根岸じゃないって!

近づいてくるおじさんをつい突き飛ばしてしまった。
「なにするの、根岸さん」とおじさんは笑顔。
恐ろしくなった私は、とにかくこの場から離れようと走った。

整理しようと思っても、整理できない。
最初の根岸さんが彼らの言う根岸さんなのだろうか?
でも、私とは似ても似つかないし、年齢も明らかに違う。

というか、なに?なんなの?と思っていると、ブルブルブルと携帯が鳴る。
おばさんからだ。
開口一番、おばさんはこういった。
「あんたどこに行ってんの!」
「なにしてんの!」
「そんな山に行っちゃダメじゃない!」
おばさんにはここ2,3年会ってないし、今日のことも伝えてない。
うろたえていると、「すぐにウチに戻りなさい!」と続ける。

これは後になって聞いた話だけれど、おばさんはテレビを見ていたら急に画面が切り替わって見えて、私が山の中で多くの人に囲まれて崖から落とされる様子が写ったらしい。
その山がどうも禍々しく、何か悪い予感を感じさせ、すぐに電話をかけてくれたらしい。

おばさんの勢いに押され、「わかった」と言い、私は駅に戻り、でも誰とも目を合わせないよう、ターミナル駅を目指したのよ。


ここまで話し、彼女は一息ついて、こう言った。

根岸、って、その時にはもう亡くなってた母親の旧姓だったの。
でも、あの場所は実家とかでもないし、関係ないと思うんだけど。
けど、なにかつながりがあるんじゃないかと思うとね、どうしてももう一度行ってみたい気持ちが抑えられないのよね…。
でも、次に行ったら、なんかおばさんが見た映像が本当になっちゃうような気もして、怖いんだけど…。
けど、行きたい気持ちが抑えられないのよ…。

行かない方がいいよねえ…

と彼女は最後に小さな声で自分に言い聞かせるように言った。





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(BGM:Sublime「Don't Push [Live]」from「Stand By Your Van [Live]」)
→ジャケットの見た感じはパンクなんだけど、スカからレゲまで、まあ「楽しい」音楽だな、これは。
ライブ盤で、まあライブの曲順通りに入ってるのかどうかは知らないけど、一曲目がこの「Don't Push」ってのがね、いいよね。
「押すなよ、危ねえぞ」みたいな。
見た目に違わず優しいと見た。
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